クラウドストレージサービスのDropboxも、PLGを効果的に活用した好例です。個人向けの無料ストレージプランを入り口に、友人や同僚を招待するとストレージ容量が増えるインセンティブ制度を導入。ネットワーク効果を利用してユーザー基盤を急速に拡大し、個人利用から法人契約へと段階的に成長する収益モデルを確立しました。
Notionは、メモ、タスク管理、ドキュメント作成、プロジェクト管理などの機能を統合したプラットフォームとして、個人ユーザーの支持を獲得しました。その多機能性とカスタマイズ性が評価され、特にクリエイターやスタートアップ企業の間で、口コミやSNSを通じて急速に普及。個人での利用体験が企業全体での導入につながる、PLGの利点を最大限に活かしたサービスとなっています。
PLGを支える3つの手法
フリーミアム、フリートライアル、口コミ効果
PLGの成功には、プロダクト自体が営業やマーケティングの役割を担い、ユーザーを引きつける仕組みが不可欠です。効果的な手法として、「フリーミアム」「フリートライアル」「口コミ・ネットワーク効果」の3つが挙げられます。
フリーミアムは、基本機能を無料で提供し、追加機能や高度なサービスを有料化するモデルです。先述したようにZoomは、40分間の会議を無料で利用できるプランを提供し、ユーザーが初期費用なしでサービスを試すことができます。多くのユーザーは、この無料体験を通じてプロダクトの価値を実感し、時間制限のない有料プランへと移行していきます。同様にDropboxも、基本的なストレージ機能を無料で提供しながら、容量拡張や高度なファイル管理機能、チーム向け機能などを有料プランのメニューとして提供しています。
フリートライアルは、一定期間、すべての機能を無料で試せる仕組みです。例えばNotionは、ビジネス向け有料プランの導入前に無料トライアル期間を設けています。これにより、ユーザーはチームでのコラボレーション機能や高度なカスタマイズ機能を実際に体験し、価値を納得した上で、有料版への移行を検討することができます。