オールドメディアは
揃って“日枝院政”批判

 新聞、テレビといったいわゆるオールドメディアでは、メディアの納得が得られず積み残しとなった二つの問題に関心が集まった。

 その一つが、長期にわたって経営トップを務め、今も取締役相談役として“院政”をしき強い影響力を持つとされる日枝久氏の責任論だ。

 代表的なのがNHKだった。朝のニュースで「フジテレビ会見 異例の10時間超 日枝氏の進退含めた対応焦点」とし、日枝氏が出席していない理由や経営責任について質問が相次いだことを取り上げ、「日枝氏が今後、みずからの責任をどう受け止め進退を含めてどのような対応をとるのかが焦点」と締めくくった。

 日経新聞も社説で、「フジ・メディアHDとフジテレビは、取締役会の改革を含む抜本的なガバナンスの見直しを急ぐ必要がある」とし、日枝氏への批判を取り上げ、相談役ポジションについて不透明なガバナンスの象徴と外国人投資家などが批判していることを指摘した。

 毎日新聞は社説「フジ社長が辞任表明 人権軽んじた背景説明を」で、元タレントの中居正広さんによる女性トラブルに関連し、日枝氏が長く影響力を持ってきたと前置きした上で、「問題の背景に組織の体質がなかったかも検証し、悪弊を根絶しなければならない」と暗に女性を会食に同席させるような慣行を生んだ責任を示唆した。

 メディアが日枝氏を非難する理由は二つある。

 一つは、タレントへの過剰な接待が常態化していたとすれば、その背景にある企業文化をつくった歴代経営陣の代表であること。もう一つは、問題を適切に調査対応しメディアを通じて説明責任を果たすという、当たり前のガバナンス能力の欠如を招いた長年の経営責任だ。

 お気づきだろうが、フジテレビの対応に不満が高まるほど、“諸悪の根源”として日枝氏排除につながる構造になっている。今後も、引責辞任が報道の焦点となり続けそうだ。