フジテレビ会見でスポンサー企業が一斉離反に動いたワケ、元「不祥事企業トップ」の広報マンが解説記者会見するフジテレビの港浩一社長=1月17日、東京都港区 Photo:JIJI

釈明会見の失敗でフジテレビがあっという間に窮地に追い込まれた。タレント中居正広さんの女性トラブルを巡り、社員の関与を週刊文春が報じたのが昨年12月。女性同席のタレント接待が常態化しているとの続報が流れると、ついに1月17日、港浩一社長がメディアに促されて会見した。これが痛恨の失敗となった。“保身会見”“自滅会見”と厳しい非難をメディアから浴びるや、スポンサー企業は雪崩を打ってCM差し止めへ動いた。徹底調査と厳重処分を求める世論の圧力は強い。“無条件降伏” ともいえるトップ引責も不可避の情勢だ。“不祥事企業No.1”三菱自動車の広報部で長年、危機管理を担当した広報コンサルタントが、フジテレビの信頼回復への道を探る。(広報コンサルタント 風間 武)

メディアの怒りを買った
フジテレビ社長の会見

 フジテレビは緊急会見の“作法”をことごとく破った。

 まず、記者の参加を制限した。日ごろから付き合いのある「ラジオ・テレビ記者会」「東京放送記者会」 所属の記者だけを認めた。この記者クラブに加盟していないNHKや民放各局の記者は、傍聴のみのオブザーバーとして質問さえ許されなかった。 週刊誌やフリーの記者は「会場が狭い」として参加させなかった。

 撮影は、カメラNG。写真も冒頭の5分だけ。結果、テレビ各局のニュース番組では港社長ら幹部の静止画のみが放送され、まるで“紙芝居”と揶揄された。会議室の背景となった赤富士が描かれた巨大な絵画は視聴者に場違いな印象を与えた。