公立の附属中学の入学者に富裕層が多いことを裏付けることが起こった。中学生が修学旅行で海外に4泊5日したというのだ。費用はもちろん自己負担。保護者の誰一人からも反対の声はあがらなかったという。同窓生らは「長期滞在でなく、中途半端に海外に行く意味があるのか。予備校と化すような中高一貫校それ自体も、公教育がすべきことなのか」と強い疑問を抱いている。
東京では港区が2024年度の区立中学校の修学旅行先をシンガポールに決めて波紋を広げた。公立中学の修学旅行先が海外になるのは都内初で、全区立中学の特別支援学級も含むすべての3年生が3泊5日で旅行に出るとしたが、わずか数日の海外旅行を公教育で行う必要があるのか。
前述の公立の中高一貫校は偏差値が70以上でも生徒は入学後、「何して勉強すればいいか分からない」と悩んでいるという。つまり、指示がないと自分で勉強の段取りをつけられないのだ。
もともと塾が考えるカリキュラムに従って受験対策をこなしてきた子どもが入学する傾向が強まっているところに附属中学ができたことで、小学生の頃から指示を受けてそつなく勉強をこなす子どもが増えていく。
すると試験に合格して入学して自由な校風の環境に身が置かれると「何をしていいか分からない」と思考が停止してしまうのだ。保護者は保護者で、近隣の私立高校が大学受験に向けてカリキュラムを組むなど「至れり尽くせりの予備校のようだ」と言って「どうして進学校なのにうちの高校は受験の指導をしないのか」とクレームをつける。
同校では校長が代わってから「東大、京大、医学部」への合格が重視され、受験勉強ばかりにプレッシャーがかけられるようになったことで、クラスで1~2人がメンタルヘルスを崩している状態。自殺未遂した学生が何人も保健室に身を寄せるようになったという。
「難関大学の合格」が
学校のすべてではない
このような状況について、前述の学校関係者が憤る。