日米外交をリードする安倍昭恵さんに「そろそろ引っ込んで」とお願いしたい理由2024年12月、トランプ大統領の私邸で、トランプ夫妻と面会した安倍昭恵さん(メラニア夫人のXより) Photo:JIJI

「なぜ、安倍昭恵さんが?」
新大統領に民間人が歓待される違和感

 米国でドナルド・トランプ第二次政権が発足し、世界が今後の行方を見守る中、おそらく日本人として最も注目を浴びている女性がいます。安倍晋三元首相の夫人、安倍昭恵さんです。

 安倍元首相の死去後もトランプ大統領夫妻と親交を続けてきた昭恵さんは、今年1月20日に渡米し、ワシントンで行われた大統領就任式に出席しました。就任式には石破政権の岩屋毅外相らが出席し、マルコ・ルビオ国務長官と会談に臨みましたが、昭恵さんも就任式後の祝賀集会で、民間人としてルビオ氏と挨拶したことをSNSで報告しています。

 それに先立つ昨年12月、石破首相がトランプ氏と会談するタイミングがなかなか決まらない中、昭恵さんは単独でフロリダ州のトランプ氏の私邸に招かれ、トランプ夫妻と夕食を共にしています。

 こうして第二次トランプ政権の発足が決まったときから、昭恵さんは米国サイドから、日本の民間人としては異例の待遇を受けてきました。まさに日米関係のリード役として、「官邸顔負け」の外交活動を行っているという印象です。

 そんな昭恵さんの姿が報道される中、亡き安倍首相が築いた米国人脈を継承する役割を担う彼女を「心強い」と見る向きも、一定割合あるように思います。とはいえ、大方の政府関係者や国民から聞こえてくるのは、疑問や戸惑いの声というのが現実です。すなわち、「なぜ昭恵さんが?」という根本的な問題です。

 私は文春時代、安倍昭恵さんに一度だけお目にかかったことがあります。率直に言ってそのときは、初対面からちょっと危ういものを感じました。「昭恵夫人から友人の本を出版してほしいという依頼があった」と部下に相談を受け、会ったのです。同行してきたのはイスラム系の外国人。昭恵さんは「この人は中東外交にとても尽くした人だから、伝記を出版してほしい」と資料を持ってきました。

 出版社へのこういう売り込みは日常的にありますが、よほど内容がないとビジネスで成功する本にはなりません。果たして、新味もなく信頼性も低い資料だったので、なるべく早く結論を出すのがいいと考え、いただいた外国人の名刺の住所に出版できない旨の手紙を添えて、宅配便で返送しました。

 すると「この住所には、当該人物も会社もありません」という返事がきました。名刺の住所は間違っていないので、一応現地に確認に行きましたが、まったく形跡はありません。ひょっとしたら、「詐欺師」まがいの人物だったのかもしれません。