もちろん、休み時間などにSNSを閲覧するのは悪いことではありません。私もYouTubeで動画を視聴する時間を楽しんでいます。1日30分などと時間を決めて楽しむ分には、SNSは素晴らしい娯楽だと思います。
しかし、SNSに触れる時間が生活の大半を占めるとなると、話は別です。
確かに、おすすめの動画を見続ければ、完全に受け身の姿勢でも楽しい時間を過ごせますが、それでは精神的に寝たきり状態と変わるところがありません。
1人の時間の大半をスマホとにらめっこして過ごし、それでいて「時間がないから」という理由で人と会ってコミュニケーションを取ることを避ける。はたして、これは本当に充実した人生といえるのでしょうか。
SNSと受け身の関わり方を終日しているのであれば、一刻も早く抜け出す必要があります。
「一億総表現者時代」の到来
受け身のSNSをやめよう
私が強調したいのはSNSと関わるな、ということではありません。受け身の関わり方をやめるということです。
現代はSNS全盛の時代です。私も2023年からXで気づいた情報をときどき発信しています。週に1回程度のささやかな投稿です。
世の中にはSNSで数万~数十万レベルのフォロワーを持つ方がごろごろいます。これに対して、私のXのフォロワーは決して多いわけではありません。
わかっているのは、自分の発信がSNSで求められているものからズレているという事実です。ズレているのは百も承知で、『土佐日記』の冒頭よろしく「世の中の人もすなるXといふものを、私もしてみむとてするなり」の精神で始めたしだいです。
それはともかく、SNSの世界に数々のインフルエンサーがいて、収益を生み出しています。それを見ると、いよいよ「一億総表現者時代」が到来したという印象を受けます。
かつて評論家の大宅壮一は「一億総白痴化」という新語を世に送り出しました。大宅は、当時成長しつつあったテレビメディアについて、「こんなものを見ていたら、人間の想像力や思考力は低下してしまう」と警鐘を鳴らしたのです。