特徴的なコンセプトと楽曲が
幅広い層にハマったワケ

 また、若者にとどまらず、その後、幅広い層から聴かれるまでになったことには、前述した“小説を音楽にする”というコンセプトが大きく影響していたと考えられる。この特徴的なコンセプトと楽曲制作のスタイルによって、SNSでおすすめしたり、楽曲に対する考察を行う「コンセプト評判や歌詞考察の投稿」がフィードコンテンツとして生まれ、話題も早々に令和の王道リスナー層にまで広まっていったと考えられる【図4-2】。

図4-2同書より転載  拡大画像表示

 さらに、このコンセプトはテレビなどのマスからも取り上げられるポイントとなってさまざまな媒体で露出が増え、現在のような幅広い年代から聴かれる状態に至ったのだ。

 YOASOBIが2023年アニメ『【推しの子】』の主題歌として書き下ろした楽曲《アイドル》は、発表直後から令和トレンドセッター層を中心に音楽ファンの心を掴み、瞬く間に「歌ってみた」「踊ってみた」などの二次創作が数多く生まれ、YouTubeやTikTokを通して認知が急拡大していった。その勢いは国内にとどまらず、韓国でもさまざまなアイドルがこの曲で踊ってみた動画をSNSにアップするなど、東アジアや東南アジアを中心に、アメリカでも注目されるまでに至った【図4-3】。

図4-3同書より転載  拡大画像表示