握手するビジネスパーソン写真はイメージです Photo:PIXTA

「かっこいい社名にしたい」……もしあなたがコピーライターとしてクライアントの社名を考えてほしいと指令を受けた場合を考えてほしい。その言葉の裏に隠された社長の思いを深掘りし、真のニーズを掴むコツは、「感じたこと」からではなく、「できごと」から質問することなのだという。「会社名を考える」というミッションを例に、クライアントのニーズをうまく聞き出すトーク術のノウハウを紹介する。※本稿は、荒木俊哉『こうやって頭のなかを言語化する。』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。

トークで導き出される
クライアント社長の隠れた本音

 コピーライターは、いわゆるキャッチフレーズ以外にも、企業から言葉に関するさまざまな依頼をもらいます。

 その1つに「ネーミング」というものがあります。商品名やプロジェクト名、企業名など、企業が活動をするうえで欠かせない名前を考える仕事です。

「名前なんて、なんでもいいのでは?」と思うかもしれませんが、「名は体を表す」という格言もあるように、実は、とても大切なものです。

 クライアントとコピーライターが、普段、どんな会話のやりとりをしているのか、あなたもこの打ち合わせに同席しているつもりで読んでみてください。

ところで、どんな会社名がいいとお考えですか?

うーん、やっぱりかっこいいのがいいですね。

かっこいいとは、どういうことですか?

そうだな……、シンプルってことかな。

シンプルとは、短いとか、わかりやすいとか?

それもあるけど……、やっぱり言いやすいのがいいですね。

言いやすい……。ちなみに、どういうときに言いやすい会社名がいいと思われるんですか?

たとえば、電話ですね。

電話のとき?

電話をとるときに必ず会社名を言うでしょう。「○○の△△です」って。

そうですね。

長い名前だと、いちいち言うのが大変じゃないですか。実は、前の会社の名前が長くて、頭文字をとって省略して使っていたんです。

なるほど。

だから、今回の会社名は、ひと息で言えるくらいのものがいいなと。

かっこいいというよりも、短くて言いやすいということですね?

ええ、ぜひそれでお願いします。

ほかに、電話以外でよく会社名を口にする場面はありますか?

お客さんに挨拶するときかな。

挨拶するとき?

特に、はじめてのお客さんに挨拶するときですね。

はじめてのお客さん?

「なんで、この会社名にしたんですか?」って必ず聞かれるじゃないですか。そのときに説明しやすいものがいいなと。

わかりました。ちなみに説明しやすいというのは、会社や事業に対する思いが説明しやすい名前、ということでしょうか?

ええ、会社名といっしょに、私自身の思いも説明できるとうれしいです。

ここでいったん話をまとめさせていただくと、「会社や事業への思いが表現されている、短くて言いやすい会社名」を考えるということですね?

ぜひ、それでお願いします。

それでは、このあと、会社や事業への思いも聞かせていただけますか?

もちろん、お話しさせてください。