![狙え!不動産リッチ企業#7](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/1/4/650/img_14b473da5b302cce29156062c82710ed294834.jpg)
PBRが低く割安な傾向にあるのが、不動産含み益を多く抱える不動産リッチ企業だ。実は、不動産含み益を反映した修正PBRを算出すると、見た目のPBRよりも割安であることが分かる。特集『狙え!不動産リッチ企業』#7では、不動産業界の90社を対象に、不動産含み益を反映した修正PBRが低い上場企業ランキングをお届けする。(ダイヤモンド編集部 田中唯翔)
不動産業界の90社をランキング
修正PBRで分かった“格安銘柄”は?
PBR(株価純資産倍率)は、投資の際に割安度を測る指標として用いられる。PBRが低いほど、分母の純資産に対して分子の株価が低く評価されていることを示し、一般的に割安と判断される。
PBRが低く割安に放置されがちなのが、不動産含み益(賃貸等不動産の時価と簿価の差額)を多く抱える不動産リッチ企業だ。不動産含み益のある企業は、不動産含み益のない企業と比較してPBRやROE(自己資本利益率)が低い傾向にある(本特集#3『不動産含み益を反映した「修正PBR」が低い“割安”上場企業ランキング!2位にフジ・メディア・HD、1位は?』参照)。
また、不動産リッチ企業は見た目のPBR以上に割安とみるべきだろう。PBRの算出過程において、不動産含み益は反映されないからだ。海外投資家の注目が賃貸等不動産に集まる中、不動産含み益を反映した修正PBRのチェックは不可欠だ。
そこで、岡三証券の内山大輔シニアストラテジストの計算式に沿って、実効税率30%課税後の不動産含み益を反映した修正PBRを算出。本稿では、不動産業界の修正PBRが低い上場企業ランキングを作成した。
昨今、不動産会社をアクティビストが狙うケースは多い。不動産業界は、賃貸等不動産の含み益を多く抱える典型的な“不動産リッチ業界”だからだ。
一例を挙げると、2024年2月5日に米エリオット・マネジメントが業界最大手の三井不動産の株式を2%以上保有していることが判明した。
三井不動産のPBRは1.12倍であり、解散価値を上回っているように見えるが、3兆3689億円ある不動産含み益を考慮すると修正PBRは0.64倍になり、実は割安だといえる。同社は24年4月11日に策定したグループ長期経営方針で、25年3月期から27年3月期の間に、2兆円程度の販売用不動産などを聖域なく売却する方針を明らかにした。
三井不動産のように、不動産会社であっても不動産の売却などを通じて含み益を実現化させる蓋然性は高い。修正PBRを見ると、依然として割安な状態に放置されている不動産会社はまだまだ多いからだ。
不動産業界の90社の中で、修正PBRが低い割安な不動産リッチ企業はどこか。次ページで一挙に公開する。