佐川急便を傘下に持つSGホールディングスが2021年、次世代型物流センター「Xフロンティア」を全面稼働させた。ダイヤモンド編集部は、Xフロンティアの頭脳であるコントロールセンターなど最深部を取材。「2024年問題」や人手不足に直面する中、ECの拡大で年間50億個超に増え続ける宅配便をどう届けようとしているのか。特集『物流大戦』の#12では、その難題に立ち向かう、物流各社の最前線の戦いに迫る。(ダイヤモンド編集部 田中唯翔)
首都圏の物流を支える「司令塔」
次世代型物流センターの実力は?
20台以上のモニターが整然と並び、トラックや荷降ろしの状況が常時映し出される。トラックが駐停車するバースにどの車両が入るのか、コントロールセンターのモニターにはリアルタイムの入庫状況が表示される。
取材中にも次々とトラックの到着する様子がモニターに映し出され、従業員がバースにトラックを誘導していた。コントロールセンターは、3交代制で24時間稼働し続けているという。トラックドライバーへの入庫指示が飛び交う様子は、まさに首都圏の物流を支える司令塔だ。
「荷降ろしに必要な人員は約4割削減された。ドライバーの待機時間も大幅に減りました」。そう語るのは、佐川急便輸送ネットワーク部の丸山和洋氏だ。
ここは佐川急便を傘下に持つSGホールディングスが、2021年に全面稼働させた最新物流センター「Xフロンティア」中枢のコントロールセンターである。Xフロンティアの内部は多くのロボットが実装され、毎日100万個の荷物の仕分け・配送が可能な物流最先端の現場だ。
近い将来、人間が倉庫の中で忙しく動き回る時代は終わりを迎えるかもしれない。Xフロンティアにはそんな近未来をうかがわせる最新技術が導入されている。
しかし、その一方で物流業界には自動化や省人化が進まない事情もある。Xフロンティア内部の詳細と、物流業界が抱える課題を次ページで明らかにする。