
コンビニエンスストア最大手のセブン-イレブン・ジャパンが3月にも加盟店オーナーに転身する社員に支払う「特別加算金」を、現行の最大500万円から大幅に引き上げる方針であることがダイヤモンド編集部の取材で分かった。かつてに比べオーナーの成り手が減っているとみられ、今後の新規出店の拡大に向け、オーナーを確保する狙いがある。ただし、人件費の高騰などで独立のハードルも上がっており、増額の効果は未知数だ。(ダイヤモンド編集部 下本菜実)
加盟店契約の解除数は増加傾向に!?
独立する社員に「特別加算金」を増額
日本のコンビニエンスストアは加盟店モデルで店舗数を拡大してきた。本部は加盟店オーナーに対して“看板”を貸し出し、商品開発や宣伝を担う。加盟店オーナーは本部から商品を仕入れ、粗利益から、本部にロイヤルティー(チャージ)を支払う。
チャージ率の細則はチェーンによって異なるが、基本的な方針は似ている。本部が土地や建物を用意する場合には、オーナーが土地や建物を用意する場合よりも高いチャージ率が課される。
チャージ率は粗利額に応じて変動する。セブン-イレブンは粗利額が増えるにつれ、チャージ率が段階的に引き上がるのに対し、ローソンやファミリーマートは粗利額が一定の金額を超えるとチャージ率が引き下がる仕組みだ。ほかにも、立地や24時間営業の有無や開業年数などもチャージ率の変動要因となる。
加盟店オーナーが利益を増やすには、チャージ率を抑える必要がある。3社ともに開業からの年数が長くなるほどチャージ率は下がり、利益は大きくなる。これは本部にとって加盟店の確保につながるメリットがあった。
だが、昨今は人件費高騰などを背景にコンビニの経営環境は厳しさを増している。実際、加盟店契約を更新しなかったり、中途で解除したりするオーナーも増えている。
コンビニ大手3社の中途解除の動向を、下表を基に見ていこう。
23年度に中途解除の件数が最多となったのはローソンだった。直近の3年間で見ると、ファミリーマートの件数が減少傾向にあり、セブンは増加傾向にある。
出店拡大にとっても欠かせないオーナーの確保に向け、セブンは本部社員のオーナー転身を後押ししている。今回、ダイヤモンド編集部の取材で、さらにその施策を強化する方針が判明した。具体的には、オーナーに転身する社員に退職金とは別に支払われる「特別加算金」を3月から大幅に引き上げる。
ではその額はいくらに引き上げられるのか。次ページではセブンが増額する特別加算金の具体的な金額に加え、詳細な中身を明らかにする。