そしてそのソフトウェアの売り上げについて、AIでデータ解析をするサービスがすでにIBMの売り上げの5分の1を占めているのが好感できます。つまり、現在、空前のAIブームが注目を集めている中で、IBMはすでにAIをマネーに転換できている会社だと捉えられているのです。

 さらにここはIBMらしいのですが、商品ラインナップには自社開発のAIだけでなく、オープンAI、メタに加えて中国のDeepSeekまで顧客の望むAIが導入できるように選択肢の間口を広げています。

 つまり投資家がIBMの先にあるAIの未来に期待を寄せたことでIBMの時価総額がわずか1年ちょっとで倍増するということが起きている。これと同じメカニズムが、実は日立製作所が20兆円クラブ入りしたというニュースでも同じように働いていると捉えるべきなのです。

日立製作所のロゴマークAI関連企業の中で、特に日立製作所が注目された理由とは Photo:JIJI

 さて、ではなぜ他のIT企業ではなく日立が20兆円クラブ入りを果たしたのでしょうか。あらためて日本の時価総額ランキングをAI企業の切り口で眺め直してみたいと思います。

 するとソニーグループはエンタメの世界をAIで変える未来への期待が23兆円という時価総額につながっていると捉えることができます。ソニーの次に位置する日立製作所は官公庁から大企業まで幅広いクライアント企業にデジタルソリューションを提供しています。近い将来、それらユーザーはAIを活用したITへと移行するわけで、そのDXを支えることになる日立に20兆円の期待が集まっているということです。

 確かに日立という会社は基礎研究にしっかりと力を入れる会社で、地力という観点で見れば変わる世界をけん引する研究開発力が評価されているということでしょう。ランキングを眺めるとAI研究が収益に結び付くタイミングは日立が他の下位ランクの企業よりも早そうです。

 さて、AIというキーワードで眺めるとそれに次ぐランキングがまた興味深いことにも気づかされます。あまり知られていませんが実は日本企業の中で、採用しているデータサイエンティストの人数が突出しているのがリクルートグループです。そのリクルートが17兆円弱と、次の20兆円クラブ入りを狙えるポジションについていることがわかります。