企業の成長と衰退を分ける決定的な違いはどこにあるのか?
売上や利益の数字を追うだけでは、企業の本当の強さもリスクも見えてこない。
決算書には、経営の意思決定や隠れた戦略がすべて刻まれている。本シリーズでは、決算書を「戦略の道具」として読み解く方法を、全7回の動画で解説する。第2回のテーマは「貸借対照表=BS」の読み方。「損益計算書=PL」は理解できても、BSは苦手なビジネスパーソンは多い。
しかし、企業の戦略や財務の健全性が最も色濃く表れるのは、このBSだ。
資金の調達方法、投資の方向性、成長のポテンシャルまでがここに記されている。
BSを正しく読めるようになると、企業の実態や経営の課題が浮かび上がる。
本動画では、BSを通じて企業の本質を見抜く視点を解説する。

企業戦略の本質は「BS」に宿る

 売上や利益を記載するPLに比べ、BSを正しく読み解ける人は少ない。

 だが、企業の成長戦略やリスクが最も色濃く反映されるのは、BSにほかならない。

 企業は事業の拡大や新規投資のために、どのように資金を調達し、それをどのように使っているのか。BSを見れば、財務の健全性や成長の方向性が明確にわかる。

 これを理解することで、投資判断や取引先・競合の経営分析ができるようになり、自社の経営にも活かせる。本動画では、BSの基本的な読み方に加え、飲料大手3社「伊藤園」「サントリー食品インターナショナル」「コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス」のBS分析を通じて、企業の本質を見抜く具体的なポイントを解説する。

矢部謙介(やべ・けんすけ)
中京大学国際学部・同大学院人文社会科学研究科教授
ローランド・ベルガー勤務などを経て現職。マックスバリュ東海社外取締役も務める。X(@ybknsk)にて、決算書が読めるようになる参加型コンテンツ「会計思考力入門ゼミ」を配信中。著書に『決算書の比較図鑑』 『武器としての会計思考力』 『武器としての会計ファイナンス』 『粉飾&黒字倒産を読む』(以上、日本実業出版社)など。2025年2月、『会計指標の比較図鑑』を刊行。