企業の成長と衰退を決定づける要因とは何か?
売上や利益の数字を追うだけでは、企業の真の強さもリスクも見えてこない。決算書には、経営の意思決定や戦略が刻まれている。本シリーズでは、決算書を「戦略の道具」として読み解く方法を全7回の動画で解説する。第6回のテーマは「構造改革」。デジタル化の波で写真フィルム市場が急速に縮小する中、富士フイルムは医療機器や化粧品などの新分野に進出し、事業転換に成功した。
一方、コダックは従来の事業モデルに固執し、破綻に至った。両社の違いは何だったのか?富士フイルムの決算書を分析し、企業が持続的に成長するために必要な「事業転換の本質」を解説する。

なぜ、コダックは消え
富士フイルムは生き残ったのか?

 写真フィルム市場の崩壊は、両社にとって避けられない現実だった。

 しかし、その後の戦略が明暗を分けた。富士フイルムは、独自のフィルム技術を応用し、医療機器や化粧品といった新たな分野へ事業を展開。さらには積極的なM&Aで事業領域を拡大し、新たな収益モデルを確立した。

 一方、コダックはフィルム事業に依存し続け、変化への適応が遅れた結果、破綻へと追い込まれた。構造改革を成し遂げるためには、単なるコスト削減ではなく、成長を見据えた戦略的な転換が不可欠だ。本動画では、富士フイルムの決算書をもとに「企業が生き残るための構造改革の本質」を詳しく解説する。

矢部謙介(やべ・けんすけ)
中京大学国際学部・同大学院人文社会科学研究科教授
ローランド・ベルガー勤務などを経て現職。マックスバリュ東海社外取締役も務める。X(@ybknsk)にて、決算書が読めるようになる参加型コンテンツ「会計思考力入門ゼミ」を配信中。著書に『決算書の比較図鑑』 『武器としての会計思考力』 『武器としての会計ファイナンス』 『粉飾&黒字倒産を読む』(以上、日本実業出版社)など。2025年2月、『会計指標の比較図鑑』を刊行。