企業の成長と衰退を決定づける要因とは何か?
売上や利益の数字を追うだけでは、企業の真の強さもリスクも見えてこない。決算書には、経営の意思決定や戦略が刻まれている。本シリーズでは、決算書を「戦略の道具」として読み解く方法を全7回の動画で解説する。本シリーズ最終回のテーマは「倒産・粉飾の見抜き方」。
上場からわずか9カ月で民事再生法を申請した不動産会社モリモトや、架空売上で粉飾決算を行った半導体メーカーFOIなど、実際に破綻した企業の決算書にはどのような異変があったのか?本動画では、決算書から倒産や粉飾決算などの「危険な兆候」を見抜く具体的なポイントを解説する。

数字の好調さに騙されるな!
倒産企業の決算書に潜む危険信号

 損益計算書(PL)では利益が出ているように見えても、キャッシュフロー計算書を確認すると、深刻な資金不足が浮かび上がることが多い。例えば、上場からわずか9カ月で破綻したモリモトは、販売用不動産の在庫が急増し、営業キャッシュフローが大幅な赤字を示していた。また、粉飾決算が発覚したFOIは、架空売上を積み重ね、売掛金が異常に膨らんでいた。このような危険信号は決算書を深く読み込むことで察知できる。本動画では、過去の倒産企業の決算書をもとに、倒産や粉飾決算といった「危険な兆候」を見抜くための具体的な手法を解説する。

矢部謙介(やべ・けんすけ)
中京大学国際学部・同大学院人文社会科学研究科教授
ローランド・ベルガー勤務などを経て現職。マックスバリュ東海社外取締役も務める。X(@ybknsk)にて、決算書が読めるようになる参加型コンテンツ「会計思考力入門ゼミ」を配信中。著書に『決算書の比較図鑑』 『武器としての会計思考力』 『武器としての会計ファイナンス』 『粉飾&黒字倒産を読む』(以上、日本実業出版社)など。2025年2月、『会計指標の比較図鑑』を刊行。