フリガナを記載するメリットは?
自認しているものと違ったら…

 改正戸籍法は、「戸籍の名前にフリガナをつけましょう」という試みである。これまでの戸籍は漢字だけで登録されていて、実はフリガナはなかったということを知らなかった人は多い(私もそう)。

 しかしなぜこのタイミングでわざわざ戸籍にフリガナを付けさせるのかというと、データのデジタル管理がしやすくなるのと、マイナカードが国際的に利用できるようになる(読み仮名に対応したローマ字表記情報を追加)のと、あとは詐欺の温床対策なんかにもなると言われている。金融機関に一人で複数の口座を作るために、漢字の読み方を変えて別人を装うケース(例「花子」をハナコとカコ、二通りの読み方で2人の人間になりすます)を防止できることになるのである。

 だから、改正戸籍法が5月26日に施行されたら、本籍地から「このフリガナでいいのか」と確認が来る。これが違う場合、国民は自分の名前の正しい読み方を届け出る必要がある。

 戸籍に登録された読みと、自認している自分の名前の読みが違った場合に何が起こるかというと、何か手続きを行う時にちょっと面倒かもしれない。まあ言ってみればそれくらいのリスクではある。

 なお、その1年が経過後に自治体が付けたフリガナを訂正したい場合は1回だけ、家庭裁判所を通さずに簡単な手続きで行えるようである。

 しかしこのあたりの話がまだ充分に伝わっていない状況であり、政府の、限られた予算の中でえっちらおっちらやる苦しさが現れているようである。法務省の仕業と思うが、戸籍を司る「コセキツネ」というゆるキャラがいて、これが名前が結構かわいくないわりに姿形はかわいい(個人的には改正戸籍法に便乗した詐欺に騙されてお金を振り込まされそうになってる困り顔のコセキツネが一推し)のだが、コセキツネを知っている人もそう多くはないはずで、法務省頑張れーというところである。

 であるから、世間に注目されやすい「キラキラネームに踏み込んだ認容指針を発表」というトピックでもって、改正戸籍法にも注目を持ってもらおうとする狙いがあったとしたなら、それは大成功なのでぜひ拍手を送りたい。