1993年「悪魔ちゃん命名騒動」を経て
“キラキラネーム”ブームが到来

 ここからはキラキラネームに関して少し考えてみたい。

 子どもの名付けに関して、特に親の「命名権の濫用」が広く考えられたのは1993年にあった「悪魔ちゃん命名騒動」が最初のケースだったようである。

 「命名権の濫用」とは、「命名権のある人物(親権者、だいたい父母)が、常識に照らし合わせて不適切な名前を付けること」である。

 その後、キラキラネームという名付けのブームが到来した。当時はDQNネームなどと言われていたその名付けは、90年代半ばから始まって2000年~2010年あたりでピークを極めた。

 そして今に至るが、今はどうかというと、ピーク時ほどの尖り方や注目のされ方はしていないものの、「キラキラ要素が混じっているのではないか」と感じられるような名前がその年の名前ランキング上位に来ていたりするので、かなり自然な形で浸透したのではないか――というのが個人的な正直な感想である。

 毎年恒例の明治安田「生まれ年別の名前調査 名前ランキング2024」では、1位~5位まで順に

男の子:陽翔、凪、朝陽、暖、陽向
女の子:紬、翠、凛、陽葵、芽衣

 となったそうである。

 フリガナはつかず、漢字表記のみでのランキングであり、例えば「陽翔」の読みなら明治安田が挙げているものだけでもハルト、ヒナト、ハルカ、ヒナタ、ヒロト、アキト、ハルヒ、ヒュウガ、ヒビト、ヤマト、ヒカルと11種類ある。

 子の名前をキラキラにしたくはないと考えている親も多い。キラキラネームが子どもの人生に影を落とす可能性の高さを知識として知っているからである。しかし親が子にする最初にして最大のプレゼントをぜひ究極のものにしたい――という親心が、ちょっと高いテンションで発揮されると、名前はキラキラみを帯びる。