JAグループ崩落#7Photo:OsakaWayne Studios/gettyimages

企業の経営再建の定石の一つが、事業を取捨選択し、注力事業にヒトとカネを重点配分することだ。しかし、全国に500組織ある農協では、ほとんど事業をリストラすることなく主要11事業を続けてきた。特集『JAグループ崩落』の#7では、農協役職員アンケート(有効回答数248人)の結果に基づき作成した、あるべき注力事業と非注力事業のランキングをお届けする。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)

全国組織が営業目標を割り振る硬直性…
ニーズがある商品を売り込むべき

 JAグループの事業運営は硬直的で、時代に合わせた新たなサービスを投入するのが苦手だ。

 その最大の要因が、事業の推進が上意下達で行われていることだ。共済(保険)の総元締めであるJA共済連や、雑誌を刊行している家の光協会といったJAグループの各上部団体が、全国の地域農協に営業目標を割り振り、組合員に販売させるのだ。

 それに加えて、上部団体は縦割りで、それぞれが自らの組織の保身や既得権益の温存ばかり考えるので、農協に過大な目標を与えがちだ。目標の受け入れを拒むことができない農協は毎年、割り振られた目標を漫然とこなすことになる。

 結果的に、時代に合わせて事業を取捨選択することができない農協が多くなるのだ。そのため農協の職員は、組合員から積極的に求められていない共済や雑誌、新聞などの商品を、疑問を感じながらも売ることになる。

 ダイヤモンド編集部は、農協役職員アンケート(有効回答数248人)を実施し、農協関係者が、事業の選択と集中についてどのような意見を持っているのかを調べた。

 すると、「推進を強化すべき」との回答が61%に上る事業分野がある一方で、同回答が3%しかないものがあるなど、事業分野ごとに推進の積極度合いが大きく異なることが判明した。「推進すべきではない」との回答が47%もある事業もあった。

 次ページでは、本邦初・農協役職員に聞いたJAのあるべき注力・非注力事業のランキングを大公開する。