条件4 リモートワーク
働き方が多様化し、在宅勤務をする人が増えたが、家事が気になる、プライベートの境界線がはっきりしない、ということから集中力が削がれ、脳のエネルギー消費が増えている。また、雑談など気晴らしの手段が減って脳の負担となるストレスを抱え込みがちでもある。
プランBを用意して
「脳の省エネ化」を実践しよう
情報処理量の多さ、マルチタスク、先行きへの漠然とした不安感、リモートワークなどなど、脳疲労の要因があることはわかっても、それらを取り除くことは不可能だ。そもそも、脳疲労を起こしやすい人、起こしにくい人はいるのだろうか。
「これまでの研究から、『神経質でこまかいことにこだわりが強い』『人から言われたことをくよくよ気に病む』といった気質の人は疲労が強くなることがわかっています」
このような性格傾向の人は、裏を返せば生真面目で仕事をきっちりこなし、人からの指示を受け止め改善できる能力の持ち主ともいえる。しかしその気質ゆえに、脳疲労が起こりやすい。
渡辺氏によると、このような気質の人はもちろん、現代人は「脳の省エネ化」を実践すると、脳が疲労しにくくなるという。脳は、想定外のことが起こると、それに対応するために、情報を取捨選択し、消耗する。そこで、事前に想定外を予想し用意して「省エネ」することが、疲労の減少につながる。
「単純なことですが、翌日に着る服を前の日から用意しておきます。B案として、例えば雨が降ったとき用の服も用意しておくのがポイントです。あるいは、同様に翌日の朝、昼、晩に食べるものを決めておく。朝は和食、洋食、飲み物だけの場合などを好みに合わせて用意し、昼はその日の予定に応じて買う場所やレストランの目星をつけておく、といった具合です。これを私はパターン化と呼んでいますが、あらかじめいくつかパターンを作っておくと、右往左往することが減ります」
些細なことに対して振り回される要素をなるべく減らすことで、自分のやるべきことを太い幹線道路のように太くしていける。これが省エネ化で、安心して仕事を進められようになるというわけだ。