この交渉の過程で、2004年の枠組み合意時における輸入米の価格が1kg当たり43.8円だったため、これを関税率に換算(341÷43.8)すると約778%となり、その数字は農水省のHP(https://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/syokuryo/0903/pdf/ref_data2.pdf、26ページ)にも掲載されている。
ただし、現在では円換算での米価は、国際的な米相場高と円安のために上がっているので、再計算すれば数字は少なくとも一時的にだいぶ低くなっている。
海外の数倍~10倍という高価な米を
買わされている日本の消費者
それでは、海外において、ジャポニカ米にこだわらず標準的な米の小売価格はどうかというと、おおよそ1kg当たり、タイで75円、中国で130円、韓国で300円、米国で420円といったところだ。
一方、日本では昨年末で755円ほどである。いずれにせよ、日本人は諸外国に比べて、数倍から10倍の価格で米を買っているのは確かだ。また、ミニマムアクセスで輸入された米は、海外援助・原料・飼料・アジア料理店などで使われ、国産米の価格を下げないようになっている。
ここで米の生産と貿易についての歴史を簡単に振り返ると、江戸時代は鎖国で自給だったため、飢饉(ききん)になると餓死者が出た。その後、明治時代以降は人口増で輸入が始まり、戦後でも輸入率は20~30%に及んだことがある。だが、1967年ごろに自給率100%が達成された。
この制度を支えたのは、戦争中の1942年に導入された食糧管理制度で、農協を通じて品質差をあまりつけずに高価格で農家から買い入れ、消費者には安く配給した。
だが、財政赤字は拡大、余った在庫米を抱え、また、コシヒカリなどの銘柄米とそれ以外との品質による価格差が小さ過ぎて、おいしい米の生産が十分でないなどの矛盾が拡大。そのため、良質米の自主流通制度ができたり、1995年までは過剰生産を抑えるために減反政策が行われたりした。