融資先企業を「倒産」させた金融機関ランキング2025#42Photo:amtitus/gettyimages

メガバンクに地方銀行、第二地方銀行、信用金庫に信用組合――。全国の金融機関が直近の2年間で、どれだけメインの融資先企業を倒産させてきたのか。ダイヤモンド編集部が独自に調査し、2025年最新版として取りまとめた結果を実名で公開。特集『融資先企業を「倒産」させた金融機関ランキング2025』の#42では、長崎県の金融機関を取り上げる。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

長崎県で融資先企業を最も倒産させてきた銀行は?
十八親和銀行、長崎銀行が倒産させた企業は何社?

 長崎県最大の地方銀行、十八親和銀行で顧客預金の着服が相次いでいる。3月下旬、男性行員(32)が1人の高齢顧客から通帳を預かり、2020年6月~24年10月にかけて約9200万円を引き出していたことが発覚。同行は懲戒解雇とし、長崎県警に通報した。2月にも別の元行員が20年間で数千万円を着服していたことが発覚したばかりで、ふくおかフィナンシャルグループ傘下行としてのガバナンスが厳しく問われている。

 有力な地銀が信頼を損ない、経営が不安定化すれば、地域企業の資金繰りやメインバンク構造に跳ね返る。企業を育てて生かすのも銀行、危機に陥れば命運を握るのも銀行だからだ。特にメインバンクが「支えるか、引くか」は、再生か倒産かの分水嶺となる。

 メインバンクとは通常、貸出金のシェアが首位で、当該企業と長年にわたって親密な関係にある銀行のことを指す。ただ、企業側と銀行側で認識が異なっているケースもある。

 24年度の全国の企業倒産件数は、11年ぶりに1万件を超えた。今後も倒産件数の増加と金融機関の融資姿勢が、厳しくなるのは必至とみられているが、どの銀行が今後、企業に厳しく臨むのか――。それを知るには過去に注目するとよい。その銀行の将来の行動を最もよく表しているのは、口先のきれい事ではなく過去の行動なのだから。

 メガバンクに地銀、第二地銀、信用金庫に信用組合――。全国の金融機関が直近の2年間で、どれだけメインの融資先企業を倒産させてきたのか。ダイヤモンド編集部が独自に調査し、25年最新版として取りまとめた「融資先企業を『倒産』させた金融機関ランキング」を実名で公開する。

 今回は、長崎県の金融機関を取り上げる。十八親和銀行、長崎銀行のほか、たちばな信用金庫や長崎三菱信用組合も名を連ねた。

 ちなみに「金融機関が倒産させた企業数の多い都道府県ランキング」は、下表の通りだ。地銀や信金、信組など主な金融業態の内訳も明記したので、ご覧いただきたい。

*「メインバンクとして倒産させた社数の合計」は2023~24年の2年間の合計値で、ダイヤモンド編集部調べ。負債総額1000万円以上、法的整理による倒産が対象。社数は編集部の捕捉ベース。都道府県別での倒産させた社数の合計は、金融機関の本店所在地ベースで数えた。例えば、東京都に本社を置く企業が倒産してもメインバンクが埼玉県の銀行なら、埼玉県の倒産させた社数としてカウントしている。集計対象とした金融機関は、都市銀行、地方銀行(ランキングの項目の表記は地銀)、第二地方銀行(同第二地銀)、信用金庫(同信金)、信用組合(同信組)。「主な金融業態の内訳」で省略した都銀は、東京都が3行、大阪府が1行

 ランキングは、50本以上の記事として配信していく。全都道府県と全金融業態を網羅した完全版を含めて、さまざまな視点でお届けする予定だ。それでは早速、今回の長崎県の結果を確認していこう。