
メガバンクに地方銀行、第二地方銀行、信用金庫に信用組合――。全国の金融機関が直近の2年間で、どれだけメインの融資先企業を倒産させてきたのか。ダイヤモンド編集部が独自に調査し、2025年最新版として取りまとめた結果を実名で公開。特集『融資先企業を「倒産」させた金融機関ランキング2025』の#43では、熊本県の金融機関を取り上げる。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
熊本県で融資先企業を最も倒産させてきた銀行は?
肥後銀行、熊本銀行が倒産させた企業は何社?
熊本県トップ地方銀行の肥後銀行は6月16日、独自のスマホ決済アプリ「くまモン!Pay」のサービスを開始した。Visaと電子マネー「iD」のタッチ決済に対応し、県内外の加盟店やECサイトで利用できる。口座やクレジットカードがなくてもチャージ可能で、2028年度までに月間利用者17万人を目標に据える。
導入の追い風となったのは、県内の鉄道・バス各社が全国交通系IC「10カード」を相次ぎ廃止したことだ。更新費が巨額に膨らんだことが廃止の理由である。肥後銀行は赤字が続くプラスチック版「くまモンのICカード」をアプリ化し、乗車から買い物までを一つで賄う地域通貨へと転換する構想を描いたのだ。
今後は交通系IC(集積回路)機能やアプリ間送金も順次追加し、地域金融機関との口座連携を広げる計画だ(詳細は『「くまモン!Payを県民通貨にする」肥後銀行・笠原慶久頭取が明かす地域通貨構想』参照)。キャッシュレス比率が33.5%と全国平均を下回る熊本で決済プラットフォームを握ることは、肥後銀行の重要課題である。
地元企業の資金フローはメインバンクの動向に左右される。企業を育てて生かすのも銀行、危機時に命運を握るのも銀行だ。特にメインバンクが「支えるか、引くか」は、再生か倒産かの分水嶺となる。
メインバンクとは通常、貸出金のシェアが首位で、当該企業と長年にわたって親密な関係にある銀行のことを指す。ただ、企業側と銀行側で認識が異なっているケースもある。
24年度の全国の企業倒産件数は、11年ぶりに1万件を超えた。今後も倒産件数の増加と金融機関の融資姿勢が、厳しくなるのは必至とみられているが、どの銀行が今後、企業に厳しく臨むのか――。それを知るには過去に注目するとよい。その銀行の将来の行動を最もよく表しているのは、口先のきれい事ではなく過去の行動なのだから。
メガバンクに地銀、第二地銀、信用金庫に信用組合――。全国の金融機関が直近の2年間で、どれだけメインの融資先企業を倒産させてきたのか。ダイヤモンド編集部が独自に調査し、25年最新版として取りまとめた「融資先企業を『倒産』させた金融機関ランキング」を実名で公開する。
今回は、熊本県の金融機関を取り上げる。肥後銀行、熊本銀行のほか、熊本第一信用金庫や熊本県信用組合なども名を連ねた。
ちなみに「金融機関が倒産させた企業数の多い都道府県ランキング」は、下表の通りだ。地銀や信金、信組など主な金融業態の内訳も明記したので、ご覧いただきたい。
ランキングは、50本以上の記事として配信していく。全都道府県と全金融業態を網羅した完全版を含めて、さまざまな視点でお届けする予定だ。それでは早速、今回の熊本県の結果を確認していこう。