
「当社がスカウトする場合、以上の例のようなことは言いませんし、しませんので……」。大手芸能事務所のアミューズが、春休みを目前に控えて注意喚起を行った。背景には同社を騙る「偽スカウト」による被害がある。芸能系のスカウト詐欺から子どもを守るためにはどうすればいいのか。(フリーライター 鎌田和歌)
アミューズが注意喚起
にせものスカウトはどんな手口を使う?
「株式会社アミューズ法務部(@AmuseLegal)」が注意喚起を行ったのは2025年3月11日。「学生・生徒の皆様の春休みが近付いたこの時期に、注意喚起します。(以下、わかりやすさを優先し、くだけた言葉も使っております。ご容赦ください。)」とした上で、「にせものスカウト」「なりすましスカウト」の被害通報が増えていると長文で綴った。
にせものスカウトが具体的にどのような手口を使うかについても例示されている。これによると、にせものスカウトは「今日は休日だから、名刺も社員証も持ってない。」「僕はアミューズさんのトップから頼まれたプロのスカウトなので、アミューズの名刺や社員証はない。」「アミューズに問い合わせるのなら、君は終わり。スカウトである僕のことを信用してくれないなら、僕も君を信用できない。」など、言葉巧みに自分を本物のスカウトだと思い込ませるようだ。
文末では、少しでも怪しいと感じたら同社の問い合わせフォームに連絡し、返信があるまでは待ち合わせ場所などに行かないよう呼びかけている。
芸能界に憧れる若者の気持ちにつけ込むばかりか、「せっかくスカウトしてくれた人を疑ってはいけないのかもしれない」と罪悪感を持たせてだますところが悪質だ。社会経験の少ない10代を大人がだますのは簡単なことで、だまされる方も悪いとは言えないだろう。
芸能事務所関係者や、実際に詐欺被害に遭いかけた人から聞いた、怪しげな手口をまとめてみたい。