「本意を伝えることができず反省」
長野智子氏がXで綴ったこと

 番組が放送されると、SNS上では特に長野氏に対して批判が殺到。一時はトレンドに長野氏の名前が上がった。

 長野氏は翌日にXで「本意を伝えることができず反省」「悪いのは言うまでもなく、加害者」とした上で「第三者委員会の報告書において、「アナウンサーが脆弱な立場にあったのではないか」という指摘があり、その印象が伝わることで、今も多くの女性アナウンサーに対して「上納されただろう」など中傷が浴びせられて、苦しい思いをしていることを聞いていました。私はそれは違うということを伝えたかったのですが、言葉が足りませんでした」などと綴った。

 SNS上では宮根氏や長野氏の発言が被害者に落ち度があるかのようなコメントだと批判されているが、筆者はまた別の感想を持った。

 宮根氏や長野氏は、視聴者のものの見方をあなどっているように感じたのである。

 確かに、宮根氏が言うように、アナウンサーに対して「タレントさんと仲良くなることを第一に考えて」いるなどの軽薄な印象を持っている人もいることはいる。

 しかし今回問題になっているのはアナウンサーとタレントの距離感や、アナウンス技術へのプライドといったものではなく、テレビ局に所属していたアナウンサーが業務の延長上で被害に遭った事件であり、指摘されているのは組織の中でハラスメントが起こりやすい構造である。個々人のプライドやプロフェッショナルとしての矜持は全く別の話であり、ちぐはぐでまるで話が噛み合っていない。

 今回の調査報告書に関して「これだから女子アナは……」などと感想を漏らしている人も中にはいるかもしれないが、それは多数派ではないだろう。宮根氏のコメントは、このニュースに関しての視聴者の感想をわざわざ非常に狭い枠で捉えて、そこに反論しているように感じた。