視聴者からは
見透かされている?

 問題なのは、「Mr.サンデー」はフジテレビの番組であり、フジテレビが起用した司会者やコメンテーターが、調査報告書の趣旨を理解していると思えないような発言をしていることだろう。

 また、コメンテーター6人中、古市憲寿氏や橋下徹氏は、中居正広問題について文春報道を過去に批判していた立場であることをSNS上でも指摘されていた。

 多様な意見を持つコメンテーターを選ぶ意図だったのかもしれないが、全体的に見て自社を擁護する姿勢が最初から見えるような設定であったし、視聴者からそのように見える危険性を制作スタッフが考慮していなかったのであれば、考えが甘いと言わざるを得ないのではないか。

 調査報告書の中では、失敗に終わった1回目の記者会見(1月17日)について、テレビカメラを入れない点について事前に報道局長が懸念を示していたものの、常務の反論によりそのまま推し進めたことが明らかになった。

 また、フジテレビ系列の報道番組が会見の様子を「謝罪」のテロップを入れて報じようとしたところ、当時の港浩一社長が「あれは説明だ、謝罪ではない」と怒りを示したことで「説明会見」と変わったことも報告されている。

 報告書で挙げられているこのような事情を押さえていくだけでも、「楽しくなければテレビじゃない」のノリの裏には、立場の弱い側がものを言いづらい企業風土があったのではと推測してしまう。

 視聴者はそれほどバカではない。視聴者からその企業体質を見透かされているのはフジテレビの方だ。まずは「Mr.サンデー」が先日の放送をどのように説明するのかを見たい。