ある女性が、自分のつらい気持ちを友人に話したら「ヒロイン症候群?(編集部注:自分の不幸を過度にアピールし、他者からの注目を集めようとすること。俗に“悲劇のヒロイン症候群”ともいわれる)」とからかわれて、ひどいショックを受けた。

「この人は、ずっと幸せに生きてきたから、私の気持ちなんてわかってもらえない」

 そう思った彼女は心を閉ざしてしまった。

 つらい気持ちや苦しいことがあって、誰かに話を聞いてほしいときがある。そんなとき、「甘えるな」とか「もっと強くなれ」と言っても、ネガティブになっている人の気持ちを救うことはできない。

 そのような人を救えるのは、そういう経験をしたことがある人だけである。立派なアドバイスをしてくれる人より、ただ黙って話を聞いてくれる人が必要なときもある。

 トルストイ(編集部注:『戦争と平和』の著者)も「生まれてから1度も病気になったことのない男を友とするな」と言っている。もしもあなたが落ち込んでいるなら、今の状態を心に刻みつけておこう。

 どんな言葉があなたの心に響いたか。誰のどんな態度が嬉しかったか。どんなときに心が休まったか。

 病気を経験したり、逆境に追い込まれたりしたとき、人は新しい力を手に入れる。病気からゆっくり回復するときや、逆境からはい上がるときに感じる力である。

 この力を体に記憶させておこう。それを決して忘れずにいれば、いつか、今のあなたと同じような状況の人に温かい言葉をかけることができる。人の苦しみや人の悲しみがわかる心温かな人間になることができるのだ。

グチをこぼすのに
良い相手とは?

グチの1つも言わずに
立派に生きていくことなどできない。
制限時間を決めて、
スッキリ気持ちを切り替えて、
解決への行動を始めよう。

 イヤなことがあると、ついグチりたくなることがあるだろう。しかし、相手が自分の思うとおりにならないのを恨んだり、グチったりしても何も変わらない。だからグチを言っても仕方がないし、あまり前向きな行動とは言えない。