営業に「借り」を作る
 逆に、営業が編成に「借り」を作る場合もある。化粧品会社の社長がMCとなり、ゲストとトークする番組があった。これは営業案件で、番組スポンサーは社長の化粧品会社だった。化粧品そのものを宣伝するわけではないが、番組考査上グレーゾーンである。営業としてはこの番組で利益を得られるだけでなく、恩を売ったことで他番組のスポットCMなども買ってもらいやすくなるというわけだ。厳密にいえば、NGなのだが、結局お金に負けて受けることになった。お金は何より強いのだ。
アフレコ
 主人公でもある子パンダの声を担当したのはTARAKOさん。1990年から「ちびまる子ちゃん」で主人公のまる子役を担当する少し前の話だ。
CM
 CMは大きく「タイム(CM)」「スポット(CM)」に分けられる。「タイム(CM)」は、「この番組はトヨタ自動車の“提供”でおおくりします」とアナウンスされる「提供枠」スポンサーのもの。この場合、トヨタ自動車は番組の制作費と電波料を支払うことで、この「提供 トヨタ自動車」という提供テロップと提供社名読みを入れてもらえる。CMは提供番組中に流され、30秒CMであるのが原則。一方、「スポット(CM)」は、提供読みがなく、15秒が基本で、番組の放送枠外(たとえば番組と番組のあいだ)で流される。
タクシー
 東京支社時代、タクシーチケットを切った際、使用理由に「取引先泥酔のためタク送」と書いたところ、編成部長から「こんなもん、正直に書くやつがいるか。ちゃんともっともらしい理由を書いてこい」と怒られた。
当日納品
 ただ、苦労して帰ってきてもプレビュー室に直行して納品すれば終わり。緊迫感を持っているのは私と編成部長だけで、編成部の面々は他人事だ。私が自分の席に戻って、「今、戻りました。無事納品しました」と報告すると、編成部の面々からは「ああ、お疲れさ~ん」と間の抜けた声がかかった。
無事に全26回の放送を終えた
 最終回のラストシーンでは、主人公のパンダの親子が視聴者に向けて手を振るはずだった。ところが、制作が間に合わず、ラスト5秒は手をあげたパンダの静止画を使用せざるをえなかった。制作は本当にぎりぎりで、パンダに手を振らせる余裕すらなかったのだ。