
公認会計士試験の合格実績がナンバーワンの予備校であるCPA会計学院。昨年の試験では、全合格者数に占めるシェアは60%に達した。その代表で、自身も公認会計士である国見健介氏は、公認会計士はそのポテンシャルを発揮できていないと話す。特集『公認会計士「実名」「実額」2364人ランキング』の#11で、その真意を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)
公認会計士は価値を生み出していない
日本のGDPを底上げできる人材だ
――若手公認会計士の監査離れなど、公認会計士や監査法人業界には課題があります。この現状をどう捉えていますか。
私は公認会計士やUSCPA(米国公認会計士)、税務、経理などに関わる人材を、会計ファイナンス人材と捉えています。その数は日本で約150万人いるといわれていますが、生み出している価値が低過ぎるのではないかと考えています。
本来、公認会計士試験に合格する層の学力は高く、いわゆるエリート予備軍だと思います。ところが、40代以上で会社や組織の根幹を担う世代になったときに、大きなインパクトを出している公認会計士はどれだけいるか。“イチ士業”に収まってしまっているのではないかと思っています。
公認会計士の各世代から1人ぐらいは、楽天グループ会長兼社長の三木谷浩史氏のような起業家が出てきてもいいし、ソフトバンクグループの後藤芳光氏のような、カリスマCFO(最高財務責任者)が出てきてもいいはずです。
私がCPAグループとして実現したいのは、今の1.5~2倍の価値が出せる人材を輩出したい。公認会計士には日本企業の生産性を10~20%向上させ、今の日本のGDP(国内総生産)を底上げするポテンシャルがあると思っています。そこに本気で取り組むためにも、もっと力を付けたいと思っています。
――生み出している価値が低い理由は何だと考えていますか。
専門知識はあるものの、ビジネスについての深い理解であったりリーダーシップ、マネジメントに関して学んだりする機会が、圧倒的に少ないのです。
国見氏は公認会計士となった後、監査法人で監査証明業務に従事する一般的なキャリアを歩むのではなく、予備校を立ち上げ、経営者として公認会計士を目指す学生をサポートする側に回った異色の公認会計士だ。ただし、だからこそ見える業界の課題もあるようだ。次ページでさらに話を聞いた。