永塚氏は経済産業省の出身で、自動車課課長などを歴任。14年から自工会副会長・専務理事を10年間務めていた。業界を熟知していることに加え、自工会時代は、自工会会長を3期務めた豊田章男・トヨタ自動車会長のサポートを行ったことから、豊田氏からの信任も厚い人物だ。三菱ふそう会長就任前から、シャープの社外取締役にも就いている。

 一方の長田氏は、トヨタの渉外広報本部長に加えて、執行役員兼チーフ・リスク・オフィサー(CRO)兼チーフ・コンプライアンス・オフィサー(CCO)などを歴任し、豊田章男トヨタ体制の“スポークスマン”を務めた豊田氏の腹心だ。24年6月に日野自取締役に就任し、25年1月にトヨタの役員を離れて日野自取締役に専心している。日野自の関係者からは、小木曽社長の後継に長田氏が有力との声も聞こえる。

 永塚・長田氏の両者に共通するのは、いずれも豊田氏との距離が近いことだ。日野自の統合は、トヨタにとっても商用車部門の位置付けに関わる大きな課題なだけに、キーマンの両者を支える豊田氏などが中心となって統合検討が進んでいくと考えるのが自然だ。また、永塚氏と経産省の“パイプ”から、経産省のバックアップも含まれることになるだろう。

 それ故、この永塚・長田の両者が統合におけるキーマンといえるのだ。

 三菱ふそうトラック・バスは非上場だが、日野自はこの6月の株主総会を最後に、上場を廃止するとみられる。統合後も日野自と三菱ふそうの両ブランドを継続していく考えで、日野自と三菱ふそうが傘下にぶら下がる、トヨタとダイムラートラックが同等出資する持ち株会社が上場を目指すことになりそうだ。

 独占禁止法といった課題をクリアする必要もあるが、日野自・三菱ふそう統合では、CASE技術や水素技術での連携を図るとともに、重複する各トラック・バス分野の効率化を進める。