さて、日野自・三菱ふそう連合の誕生で国内は2陣営に集約されるが、対抗するライバルメーカーであるいすゞの業績は、日野自とは対照的に堅調そのものだ。

 利益もさることながら、いすゞの片山正則会長が24年1月から豊田自工会会長の後任として、トラックメーカー代表として初めて自工会会長に就任しているなど、業界内での存在感も高めている。また、いすゞはボルボとの連携に加えて、トヨタと21年に5%の相互出資で資本提携も行っているなど、“したたかな経営”の一面も見せている。まずは、日野自と三菱ふそうの新連合は、いすゞ陣営と伍する水準へと業績を改善することが急務だ。

 乗用車再編では、ホンダ・日産の経営統合があっという間に“破談”となり、日産は25年3月期に最大7500億円もの最終赤字が見込まれ、自力再生が危ぶまれる状況だ。

 一方の商用車再編では今回、日野自が認証不正問題を乗り越えてダイムラー・三菱ふそうとの連携を進め、いすゞ・ボルボ連合に対抗する勢力となることで、国内の商用車の2陣営が切磋琢磨(せっさたくま)する環境となり、ひいては世界での競争で勝ち残ることが期待される。

(佃モビリティ総研代表 佃 義夫)