目の前に「ゴミ箱ロボット」がいたとき、どう捉えると説明が付きやすいのか。ただのゴミ箱として、物として見るのか、目的とした機能を発揮するように設計された機械としてなのか、意図をもっていてゴミを拾い集めようとしているのか……。子どもたちはそこでロボットに心を帰属させて、ゴミ拾いを手伝っているのです。

 なぜかと言うと、ヨタヨタしていて生き物らしいし、キョロキョロしていて何かを探しているようにも見えて、心があるものとして捉えると次を考えやすいから。

ヨタヨタ動くロボットを
子どもたちが見ると……

 もしも、ヨタヨタ、キョロキョロではなく、タイヤ付きのスマートなゴミ箱がスムーズな動きでゴミの近くまできて、無機質な声で「ゴミを拾ってください」と言ったとする。近くにいる人は「こいつはゴミを集めるために設計されたんだ」とは思っても、「ゴミ箱がゴミを集めようとしている」とまでは思わないだろう。

 連帯感のような関係性を感じづらいことも容易に想像できてしまう。

子どもたちはヨタヨタ動いているゴミ箱ロボットを見ると、一生懸命に手助けをしてくれる。発達障害の子どもたちも、すごく積極的に関わってくれる。ロボットの弱さが“のりしろ”になって、子どもたちの強みや優しさを発揮させたり、一体感や達成感につながったりする。

 やっているうちに、ポンコツさやヘコみが周りの人を生き生きとさせていることに気づいたんです。こうしてウェルビーイングが引き出されることは、部屋がきれいになるよりも子どもたちにとって良いことだと思うんですよね。

 ロボットはあえてヨタヨタし、キョロキョロすることによって、実際には持っていない心や意思を感じさせ、ウェルビーイング(編集部注:個人や社会のよい状態)を引き出す存在になり得るのである。

重要なのは
「弱みを開示」すること

 岡田さんの話は「周りの助けを引き出す」ために重要なことへと進んでいく。

共同行為を生み出すために、「いま自分がどういう状態にあるか」を周囲に対して開示します。相手からすると、関われる余白や、困っている部分として見えるのです。実際に助けてもらえるかは相手次第ですが、少なくとも「弱みを開示」しておくことが重要です。