
ロボット大国といわれる日本には、本来の目的である「労働」をしないロボットがたくさんいる。これらの所謂「役に立たない」ロボットには、どのような価値があるのだろうか?ひとりでは何もできない「弱いロボット」の提唱者として知られる、岡田美智男教授に話を聞いてみた。※本稿は、谷明洋『役に立たないロボット 日本が生み出すスゴい発想』(集英社インターナショナル)の一部を抜粋・編集したものです。
「弱いロボット」たちは
“ヨタヨタ”が肝心?
豊橋駅からタクシーで約30分。岡田美智男さんがいる豊橋技術科学大学は、街の郊外にあった。
案内されたのは、たくさんの「弱いロボット」たちが陳列された、ショールームのような1室だった。入り口にはたどたどしい言葉で情報を伝える「む~」が3台鎮座している。見た目は「目玉」そのものだ。

部屋の中には、動画で見た「弱いロボット」たちの実物がたくさん並んでいる。「なんかゆるい」「脱力系」といった、おおよそロボットとは縁遠そうな言葉が思い浮かんだ。
岡田さんの話は「弱いロボット」をつくり始めた頃のことから始まった。