画像や文章生成AIが爆発的に世の中に浸透する中で、世界や未来に不安を抱えている人は少なくありません。ソフトバンクの孫正義氏の下、ヒト型ロボット「Pepper」に携わり、その後起業して世界初の家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」を開発したGROOVE X 創業者・CEOの林要氏。林氏は、「テクノロジーの進歩」と「人類の不安」の間で広がるギャップを埋め、テクノロジーと人類の架け橋になるために生んだのが、家族型ロボット「LOVOT」だと言います。林氏が考える「人類とAIの新しい世界線」とは?前回に続き、『温かいテクノロジー AIの見え方が変わる 人類のこれからが知れる 22世紀への知的冒険』(ライツ社刊)からの抜粋です。
「ターミネーター」みたいな世界は、
ほんとうにやって来てしまうのか
「テクノロジーが進歩し続けた未来で、人類は駆逐されてしまうのではないか」。
映画「ターミネーター」で暗示されているような機械との戦争が待つ未来。その可能性があるかないかで言うと、可能性はゼロではないでしょう。
ただしそれは、ぼくらが今後もテクノロジーを「生産性向上のためだけに使い続けた場合」の世界線です。
ぼくは、テクノロジーを「火」にたとえて話すことがあります。
自然に火を使いこなすようになった種は、人類しかいません(一部のボノボは人類が教えたことで火を使えるようになったことが確認されているようですが、種として使えるようになったわけではありません)。
最初に火を使ったときは、きっと火傷したでしょうし、火事が起こって何人も大切な家族を亡くした人もいたことでしょう。火を扱った人のなかには「あなたがこんなことをやり出すから大惨事になったんだ!」と、責められた人もいたと思うのです。