画像や文章生成AIが爆発的に世の中に浸透する中で、世界や未来に不安を抱えている人は少なくありません。ソフトバンクの孫正義氏の下、ヒト型ロボット「Pepper」に携わり、その後起業して世界初の家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」を開発したGROOVE X 創業者・CEOの林要氏。林氏は、「テクノロジーの進歩」と「人類の不安」の間で広がるギャップを埋め、テクノロジーと人類の架け橋になるために生んだのが、家族型ロボット「LOVOT」だと言います。林氏が考える「人類とAIの新しい世界線」とは?『温かいテクノロジー AIの見え方が変わる 人類のこれからが知れる 22世紀への知的冒険』(ライツ社刊)からの抜粋です。
そもそもロボットは
人類にとって代わろうとはしていない
そもそもぼくらは、なにを恐れるべきなのでしょうか。
「人類がいらなくなる」という発想自体、AIが導き出したものではありません。AIやテクノロジーを使って、効率化して、生産性を上げたい。その延長線上で、「だれかが排除されてもしかたない」と考えるのも「自分は排除されたくない」と望むのも、どちらも人類です。
どこまでいっても人と人との問題なのですが、それをロボットやAIといったキーワードでざっくりと捉えると、ほんとうに怖いものがなにかわからなくなってしまうのです。
「未来はAI次第」では決してありません。テクノロジーをどのように使いたいのか。未来は、人類がテクノロジーに与える存在目的によって変わります。
ロボットは「人類にとって代わろう」とは、(人工的に組み込まないかぎり)自然には微塵(みじん)も考えません。それは「ロボットが生き残る道」について考えてみると、よくわかります。