漏れ出た有害物質は血管を通じて体内を巡り、炎症を起こしてしまいます。これは腸にまつわる病気だけでなく、糖尿病、動脈硬化、認知症など様々な病気を引き起こすことが知られています。

 ぶどう膜炎やドライアイも腸内環境の影響を受けるという報告もされていますし、加齢黄斑変性症、網膜中心動脈閉塞症のような眼疾患も腸との関連が研究・報告されています。

 網膜は血管と接する面に血液網膜関門というバリア機能があります。ここに炎症が起きると関門の機能が維持できなくなり、網膜内で炎症が起きてしまいます。その影響で加齢黄斑変性症が進行するとも考えられています。

腸のために摂取したい
みそ、納豆、ヨーグルト、キムチ

 網膜中心動脈閉塞症は名称の通り、網膜中心動脈が血の塊などで詰まってしまって起きる病気です。血流が途絶えると網膜に栄養や酸素が送れず、網膜細胞が壊死(えし)してしまいます。すると視野欠損などの障害が起きてしまうのです。血管が詰まるのは「アテローム性動脈硬化」と関連があります。

 アテロームとは血管の内側に悪玉コレステロールなどの脂肪がドロドロにくっついたもののことです。これが剥がれて目の網膜中心動脈を詰まらせることがあるのです。腸内バランスが崩れ、悪玉菌が増えると、このアテローム形成を促す一因となります。

 腸内にいる善玉菌の代表的なものは乳酸菌、ビフィズス菌、酪酸菌です。プロバイオティクスといって、これらの善玉菌を含む発酵食品を摂ると良いです。みそ、納豆、ヨーグルト、キムチなどがあります。

 中でも酪酸菌が注目されています。酪酸は腸内での主要なエネルギー源であるだけでなく、体内で取り込まれて全身の免疫系に作用したり、血流に乗ってインスリンの分泌にかかわっていたり、筋肉の分解を抑える作用があることで知られています。

 菌自体を摂るプロバイオティクスだけでなく、善玉菌の餌となる水溶性食物繊維やオリゴ糖を摂るプレバイオティクスも大切です。水溶性食物繊維は海藻類や大麦、果物、きのこ、納豆などに含まれています。

 普段から便秘や下痢気味であったり、便が出ていたとしても硬くて小さいといった場合は腸内環境が悪い可能性があります。腸内環境はストレスなどの精神症状や運動や睡眠不足といった生活習慣でも変わりますが、食生活も関係しています。腸を健康に保つことで様々なメリットがあります。

書影『一生目が見える人のすごい習慣』『一生目が見える人のすごい習慣』(扶桑社)
真鍋佑介 著