それは、労組の活動に満足していない様子からもうかがえる。「労働組合の活動は、組合のある企業にどのような影響を与えていると思いますか」に対しては、「何も影響を与えない」という選択肢が03年には10.2%だったが、22年には36.1%に大幅に増えた。
「賃金があがる」「企業業績があがる」という選択肢は横ばいだったり、改善したりしたが、「経営に従業員の意見が反映される」は48.9%から22.1%、「人員削減に歯止めがかかる」が23.0%から9.3%、「福利厚生制度や職場環境が改善される」が53.4%から24.9%、「社内のコミュニケーションがよくなる」が11.7%から5.2%へと大幅に低下した。
回答者が、労組と距離をおく姿勢が目立った。「あなたは、労働組合は必要だと思いますか」という質問で、22年では「わからない」という選択肢をつくったところ、その割合は27.7%と大きかった。
想定よりも大きい割合だったとした上で、「知識として労働組合を知らないという意味とは思えない。実際、労働組合に関心を持てないというのが、この数字が示す本音なのだ、と判断できる」と結論付けた。
20年前にはなかった
「無関心」と「無力感」
この20年、働き手をめぐる環境は、どんどん脆弱になってきた。
2004年から製造業にも派遣の仕事が広がった後の2008年秋、リーマン・ショックが起きた。その後は派遣切りや雇い止めで、雇用不安が生まれた。労働組合に入っている働き手の割合を示す推定組織率は、2003年の19.6%から、23年の16.3%に低下した。
一方で、2010年代は、働き方改革が進んだことに加えて、IT企業が興隆し、これまでの雇用の在り方とは異なる、「ウーバーイーツ」などその時々働ける人に仕事をしてもらいたい人や企業を結び付けるマッチングサービスも始まった。
こうした大きな社会の変化を前に、労働組合が組合員や組合員以外の社会に対しても、その思いを汲んだ活動をし、十分なメッセージを発して、存在感を示せてきていたか、ということが改めて問われているのだろう。