電動KBにまつわる道路交通法改正は、実証実験や公道での限定的な事業実施を経て、有力な政権与党の議員・議連に働きかけて法改正を実現しており、法改正の手続的には瑕疵はありません。
もっとも、規制を受ける事業者主導でなされた法改正については、成立してから国民がその影響の大きさに気づくということがあります。
これは、国民の目からは知らないうちに聞いたこともない法律が突然現れるように映り、「ステルス改正」であるかのような印象を受けることになります。
規制のサンドボックス制度の認定を受ける事例は、事業化・規制緩和を念頭に置いて実証実験が実施されるため、もともとそうした「ステルス改正」を生みやすい素地があります。

中村真 著
そうした改正が生じることは法改正の構造と国民の関心の限界から避けがたいところですが、いったん生まれた法律に何かしら問題があるのだとすれば、そこであるべき形に変えていく動きもまた必要であろうと思われます。
日本で電動KBが唐突な滑り出しを見せたのと対照的に、花の都パリでは2023年9月から電動KBのレンタルサービスが禁止されました。
日本より先に2018年からシェアリングサービスが開始されていましたが、安全性への懸念や無謀運転、駐車マナーなどについて市民の苦情が増え、2023年4月の住民投票で投票者の90%が禁止を支持した結果だといいます。
今後、我が国でもどのような動きを見せるのか、目が離せません。