ノーベル賞受賞者に
ユダヤ人が多い理由
現在でもユダヤ人はビジネスに強い、特に金融業を営んでいることが知られています。これはキリスト教において金融業が卑しいものとして見られていたこと、またユダヤ人が農業から排除されていたために強まった傾向です。
差別によって土地の所有が認められないユダヤ人は、どのように資産を守り、子供たちに受け継がせるかを必死で考えてきました。
その結果、辿り着いたのが、1つはダイヤモンドの採掘。世界的ダイヤモンド企業であるデビアス社は有名ですが、歴史的に見てもユダヤ人はインドで採掘されたダイヤモンドを磨き上げ、ヨーロッパで販売してきました。
もう1つが、まさに「知恵」、つまり教育です。
迫害や追放によって、財産を築いても盗まれたり、奪われたりしてしまう。しかし知恵は決して盗まれない財産です。子供たちの教育に力を入れることにより、財産を相続させることができました。
こうして知恵を重んじてきた結果、ユダヤ人は世界の人口比率では0.2%ながら、ノーベル賞受賞者の2割を占めるに至っています。
ただし、これは「ユダヤ人だから優秀」「ユダヤ人は優れた民族」なのではなく、差別されてきた歴史の中で、盗まれない財産としての子供の教育に力を入れてきた結果、世界的な成果を残すようになったということです。
特定の民族を優秀だ、劣等だとするのは、優性思想につながりますから注意が必要です。
教養とは
人間を知ることにつながる
このように、世界では宗教や聖書が教養や生きる指針、常識、あるいは社会システムを動かすための土台となっています。
自分たちの祖先が歩んできた歴史を知ることもできるし、物語としても浸透している。これを教養として学ばない手はありません。
日本を振り返ってみると「食べ物を粗末にしてはいけない」「お天道様が見ているから悪いことはしてはいけない」などといった素朴な道徳観はあるものの、宗教が生活の基盤になっている、あるいはその基盤を知るための聖書や経典が存在しているわけではありません。