1000年前の作品が残る
日本の文化水準の高さ
日本には確かに宗教の教えや聖書に基づく教養はありませんが、古典文学や歌などは数多く残されています。
1000年前の平安時代に書かれた『枕草子』や『源氏物語』は今読んでも面白いですし、若者の間でも現代語訳した『百人一首』や『万葉集』などが大流行しているといいます。
また、国際ニュースを考える際にも、古典が役立つことがあります。それも、日本だけでなく中国の古典です。
近年、中国の軍事力が増して「まもなく台湾に侵攻するのでは」と言われています。しかし中国の古典である孫子の『兵法』には、〈百戦百勝は善の善なるものにあらざるなり。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり〉、つまり戦わずして勝つことが至上の戦略であるとしているのです。

中国共産党のトップの座を占めるようなエリートたちは当然、古典をはじめとする教養を身につけています。こうした価値観は現在の中国の首脳にも残っているでしょうから、単純軍事力で台湾を攻めるだけではない、「戦わずして勝つ(中台統一を果たす)」方法を考えているはずです。
旧約聖書は紀元前5~4世紀、新約聖書は2~3世紀に書かれたもので、孫子『兵法』も紀元前500年ごろの成立と言われています。
こうした世界各国の古典が手軽に読める日本の文化水準は非常に高いと言えるでしょう。
何より、1000年以上前の自国の文学作品を、いつでも誰でも読むことができる環境が整っている日本は、教養面でも決して捨てたものではありません。