企業のカルチャーとは、「土壌」のようなもの

 カルチャー推進室には、現在20名ほどのメンバーが在籍している。社内でのカルチャーの推進と、社外への発信はどのように行われているのだろうか。

戸田 社内での活動の目的は、カルチャーを持続・発展させていくことです。弊社は、毎年20人以上の新卒が入社しています。また、中途採用者もいますので、そうした、新しく入社した社員たちがカルチャーに関して理解を深められるよう、研修をはじめ、さまざまな施策を行っています。

 社外に対しては、弊社と同じようにカルチャーを大切にしている企業の方々との連携を深めています。それぞれの会社のカルチャーは違うけれど、「カルチャーを大切にしている」という姿勢は同じです。「どうやって、カルチャーを浸透させているのか?」といった情報交換を行い、「カルチャーで会社を選ぶような就職活動が一般的になったらいい」といったふうに、さまざまな話し合いをしています。

 社会全般への発信については、いままさに挑戦中ですが、まず、「記事を書く」ことから始めています。「ウエディングパークのカルチャーとは何か?」「いま、どういう活動をしているのか?」などを言葉にして、デジタルメディアで発信しています。

 カルチャー推進室の室長である戸田さん自身のスタンスは? また、カルチャー推進室と経営層との関係は?

戸田 私は、全体をマネジメントする立場ですが、あまり出過ぎずに、サポート役に徹することを心がけています。カルチャー推進室のメンバーは若手が多いこともあり、視野が限定的になってしまうことも。そういった際に、「こういう考え方もあるよ」と提案するような立ち位置です。

 また、弊社代表取締役の日紫喜(誠吾)が、カルチャーの存在を重要視していますから、カルチャー推進室には、経営層も積極的に関わっています。経営からの視点で、「こういう世界観もあっていいのでは?」などと壁打ちをしてくれています。

 戸田さんたちが考える、企業の“カルチャー”というものは、単に、企業理念やミッション・ビジョン・バリューに示されるものとは異なるようだが……。

戸田 企業のカルチャーとは、企業の“土壌”だと捉えています。いい土壌があるからこそ、その上にいい木が育つように、カルチャーという土台があって、その上に事業が成り立っているイメージです。カルチャーは、あらゆる仕事のベースになるものであり、また、一度つくられたら終わりではなく、社内外の変化に応じて、常に見つめ直されていく。そういった“耕し続ける”ものだと考えています。

 日紫喜の著書では、カルチャーのことを「醸し出されている雰囲気」とも表現しています。ひとつの家族に、その家族らしい雰囲気が醸し出されるように、「ウエディングパークの社員が集まったときに醸し出されてほしい雰囲気」といえばよいでしょうか。社として大切にしている価値観が社員一人ひとりに根付いていて、それが空気のように自然と表に出る状態が理想です。