行動規範を形骸化させないための取り組み
ウエディングパークには、『TRUTH』と『Wedding Park Ship』(以下、『Ship』)と呼ばれる2つのツールがある。『TRUTH』は、9つの“行動規範”が短いワードでまとめられたもので、全社員に配られる冊子だ。いつでもどこでも開けるように、持ち歩きやすい形態になっている。『Ship』は、ウエディングパークのカルチャーを言語化したカルチャーブックだ。全社員へのヒアリングを経て、昨年(2024年)に制作されたもので、11個のカルチャーが明記されている。
戸田 『TRUTH』は、迷ったときの指針であり、社員が「立ち返る場所」として重要な存在です。一方、『Ship』は、全社員の「カルチャー」に関しての声を具現化・デザインしたもの。まさにカルチャーが凝縮された1冊です。
『Ship』にある、11個のカルチャーは、どれも重要なものですが、特に大切に思っているものが2つあります。ひとつは、「チームウエディングパークでいく。チームでしかいけないところがある。」です。『Ship』のなかに、「永遠の2005年9月。」というフレーズがあるのですが、これは、弊社の半分以上の社員が辞めてしまった時期を指しています。苦しいときに団結できなかったという思いから、“どんなときでもチームを大切にする”というカルチャーが生まれました。それは、ウエディングパークの原点だと、思っています。
もうひとつは、「やり方ではなく、考え方、あり方。」です。物事の「HOW」はいろいろありますが、「HOW」をセレクトするのは、その人のベースにある「考え方」です。弊社では、人が成長していく方程式を「考え方×熱意×能力」としています。「熱意」と「能力」は、あるかないかですが、「考え方」は、良いも悪いもあります。一人ひとりの悪い考え方が、組織をマイナスの方向に進めてしまうので、良い考え方をどれだけ持てるかが重要です。
ともすれば、行動規範は形骸化してしまうものだが、ウエディングパークは、独自な方法で、社員の意識に根付く仕組みを持っている。
戸田 3ヵ月に1回、目標設定面談と振り返り面談を全社員が実施しています。弊社では、「宣言」を行っているとお伝えしましたが、目標設定面談では、行動規範である『TRUTH』の言葉を使って宣言するようにしています。たとえば、新しいミッションを与えられたときに、多少の失敗をしても、とにかく挑戦していくという意味を込めて、「『強い翼』という『TRUTH』をいちばん体現します」というように。目標設定において、自分が注力する『TRUTH』をセレクトすると同時に、「なぜ、それを選んだか?」も宣言します。自分の言葉で語るからこそ、『TRUTH』の内容を深掘りすることができて、本人の意識に根付いていきます。
また、毎月末に行われる社員表彰で授与される賞状には、「『まず、自分がやる。』を体現して、成果を出してくれました」というふうに、『Ship』に書かれている言葉が登場します。その表彰状は全社員の前で読まれるので、「あの行動が評価されるんだ」「自分もやってみよう」と、社員が考えていきます。