
多くの企業が、ミッション・ビジョン・バリューや経営理念を掲げているが、社員への浸透に腐心している経営層も少なくない。スポーツ競技におけるチームは、「勝利」という目標をメンバーが常に意識することで強くなる。そして、共通する思いがチームの雰囲気をつくり、チーム特有の“カルチャー”を醸し出していく。企業内の組織も同じだ。そうしたなか、「結婚を、もっと幸せにしよう。」という経営理念で、多種多様なウエディング情報サービス事業を行っている株式会社ウエディングパークは、社員が醸し出す“カルチャー”が事業推進の源泉になり、ワークエンゲージメントを高めている。執行役員であり、コーポレートデザイン本部・本部長の戸田朱美さんに話を聞いた。(ダイヤモンド社 人材開発編集部、撮影/菅沢健治)
100年先もカルチャーが受け継がれている状態に
「結婚を、もっと幸せにしよう。」という経営理念を掲げ、日本で初めての結婚準備クチコミ情報サイト『Wedding Park』の運営をはじめ、多種多様なウエディング情報サービス事業を行っている株式会社ウエディングパーク(*)。同社には、社員一人ひとりが当事者意識を持ってつくりあげている“カルチャー”があり、「カルチャー推進室」という部署が存在する。カルチャーは、どのように社員に浸透し、事業の発展に影響を与えているのか――まず、カルチャー推進室を立ち上げた戸田朱美さんの経歴を尋ねた。
* 株式会社ウエディングパーク(東京都港区)の設立は1999年9月。代表取締役社長は日紫喜誠吾。
戸田 私は、2013年に新卒採用で株式会社ウエディングパークに入社しました。その後、広告営業やWebディレクターなどを経て、デジタル広告の運用事業を扱うデジタルマーケティング本部の立ち上げに関わり、マネージャー職に。それから、産休育休を取得し、同じ部署に戻って、人事の仕事を兼務することになりました。「いつかは人事の仕事をしてみたい」と思ってはいたものの、戸惑いもありました。しかし、弊社には、「自分が会社にどう貢献していきたいのか」を“宣言する”文化があり、私もしっかりと宣言し……宣言したからには、「やりきらないと!」という思いがありました。

戸田朱美 Akemi TODA
株式会社ウエディングパーク
執行役員 コーポレートデザイン本部 本部長
2013年、株式会社ウエディングパークに新卒入社。その後、広告営業、Webディレクター、広告運用、人事と、さまざまな業務を経験。2020年より育休を取得し、復帰後は組織カルチャーの重要性が増していることを感じ、「カルチャー推進室」の立ち上げを提案し、室長に就任。2022年7月に現在のコーポレートデザイン本部の前身となる経営本部本部長に就任、同年10月からは執行役員として、経営目線から組織カルチャーの創造と浸透に尽力している。
戸田さんが人事の仕事に興味を持ったきっかけは、入社時にウエディングパークにあった『WPPJ(Wedding Park Project)』というプロジェクトだという。
戸田 『WPPJ』は、若手の有志10名ほどで構成された、カルチャーを推進していく組織で、メンバーは、それぞれの業務と並行しながら活動を行っていました。入社前の内定時に、WPPJが企画・運営する社員総会に私も参加したのですが、入社1年目・2年目の先輩社員たちが、会社のために自分たちでできることをつくり上げ、楽しんでいる様子に感動しました。私も入社後すぐに「宣言」し、WPPJに加わらせていただきました。WPPJは5年半ほどで卒業したのですが、そこでの活動を通して、組織や人の持つ可能性に魅了されたことが、現在の仕事につながっています。
戸田さんは、WPPJを「カルチャー推進室の前身にあたるような存在」と語るが、どういう経緯で、カルチャー推進室はつくられたのか。
戸田 会社全体で、「カルチャーを体現しよう」という動きがあったものの、その“とりまとめ役”が不在でした。カルチャーを弊社の強みにするなら、体制を整え、持続可能な状態にしていき、数十年、100年先もカルチャーが受け継がれている状態にしなければいけません。そのためには、マネージャーを明確にし、経営層と連携をとり、カルチャーを推進していく部署が必要だと考えたのです。また、社会に対しても、ウエディングパークのカルチャーを伝えたいという思いがあり、2022年に、カルチャー推進室をつくって、私が室長を務めることになりました。