八坂神社で見逃せない5つの神事

西楼門前八坂神社石段下(西楼門前)は、関連神事見学ポイントの一つ

 関係者の方々が祭りの無事を祈願する1日の「吉符入り」で幕を開ける祇園祭。ご利益を授かれる5つの神事をご紹介します。10日「神輿洗式」、13日「長刀鉾稚児社参」、16日の2つの「神楽」、17日「神幸祭」、24日「還幸祭」です。

 まずは10日の「神輿洗式」。17日の神幸祭で神様がお乗りになる神輿を、大たいまつと提灯の先導で鴨川まで導き、水で清める神事です。午後8時ごろ、四条大橋の上で神職が水に浸した榊を左右に大きく振り上げ、神輿を清めるのですが、この水しぶきを浴びると厄除けのご利益が得られるといわれています。

 近年、神事の間は四条大橋の歩道で交通規制が行われ、立ち止まって見学できません。水しぶきが降りかかるタイミングで橋の上を通ることができればラッキー!午後8時半ごろに八坂神社に戻ってからは、17日の神幸祭に備えて3基の神輿の飾り付けが行われますので、こちらもお見逃しなく。

 13日の午前11時からは、「長刀鉾稚児社参」です。烏帽子と水干姿のお稚児さんが白馬に乗り、従者を伴い八坂神社に参詣し、平安時代でいえば殿上人(御所・清涼殿に上がることのできる身分)に該当する正五位少将、10万石の大名格の高い神位を授かります。この後、境内にある中村楼で稚児餅が献上されます。疫病除けのご利益があると言われているこの稚児餅、翌14日から31日まで一般の人も買い求められます。こちらもお忘れなく。

 お稚児さんは、吉符入りの1日に社参するときには自らの足で歩きますが、この日に神位を授かってから17日の巡行までの間、身を慎み、けがれのある地面に足を着けてはならなくなりますので、移動するときには剛力(ごうりき)さんという屈強な男性の肩に担がれます。境内にはこの様子を見ようと多くの人が集まりますので、人垣の隙間からではなくしっかり見学したい場合は、早めに待機しておくといいでしょう。

 3基の神輿にそれぞれ神様を遷す「宵宮祭」の翌日にあたる16日は、「奉納神楽」を。先にご紹介した駒形提灯の明かりに浮かぶ山や鉾を見て回る鉾町巡りも魅力あふれるものですが、八坂神社も見逃せません。午後6時から、京都島根県人会島根奉賛会による伝統芸能「石見神楽」の奉納が行われます。演目は、石見神楽を象徴する「大蛇」。八坂神社の主祭神である素戔嗚尊(すさのおみこと)にまつわる逸話に基づくもので、キレのある剣さばきで8体の大蛇を退治する場面は、迫力満点です。

 時間が許せば、16日午後11時からの「日和神楽」も見ておきたいところ。こちらは、翌日の前祭の山鉾巡行の晴天を祈念するもので、各山鉾町の囃子方はそれぞれの鉾町と四条御旅所の間を、長刀鉾の囃子方は八坂神社まで練り歩き、祇園囃子を奉納するのです。浴衣姿の囃子方が奏でる笛や鉦(かね)の澄んだ音色が、蒸し暑い夜に涼やかさを運んでくれます。