
輸入車販売に異変が起きました。「インド製の日本ブランド車」の人気によって、スズキが初の首位になったのです。これを機に今回は、「日本ブランドの輸入車の歴史」を振り返ってみましょう。(モータージャーナリスト/安全運転インストラクター 諸星陽一)
スズキ「ジムニーノマド」が“輸入車”で人気!
“逆輸入車”で人気だった昭和・平成の名車は?
輸入車販売に大異変が起きました。日本自動車輸入組合(JAIA)によると、4月の輸入車新規登録台数で首位に躍り出たのが、スズキ(3990台)だったのです。輸入車販売でドイツのメルセデス・ベンツやBMWを上回ったのは初めてのことです。
4月にスズキが首位となったのは、SUV「ジムニーノマド」が日本で大人気だからです。このクルマはインドのマルチ・スズキ・インディア社が製造し、日本のスズキが輸入しています。「なるほど、逆輸入車なんだ」と思った読者もいるかもしれませんが、それはちょっと違うといえます。

逆輸入の定義はいろいろありますが一般的にクルマの場合は、国内メーカーが海外向けモデルを日本で製造し輸出したクルマを、日本に輸入したものをいいます。海外で製造し日本に輸入したクルマは輸入車と呼ぶので、インドで生産したジムニーノマドは逆輸入車ではなく、輸入車となるわけです。
ただし、輸入車としてのカウントには輸入車も逆輸入車も含みます。ちなみに、二輪車では逆輸入車のことを「逆車」などと呼び特別視する傾向があります。同じ車種でも国内仕様と輸出仕様で出力などがかなり異なるからです。
例えばかつて、ヤマハ発動機の「V-MAX」は国内仕様が97馬力、逆車は145馬力と1.5倍近くの出力差がありました。今ではそうした差は少なくなってきましたが、それでも違いやスタイリングに差があり、それが人気の一因となっています。
四輪車の逆輸入車で、日本にはない仕様の代表例が、日産の初代「フェアレディZ」です。国内仕様にはなかった2.8リットルエンジンを積む280Zや、2.6リットルエンジンを積む260Zなどがマニアの間で人気でした。