年金法案の修正案を
自公と合意した内幕
野田 年金制度改革ですね。これは5年に一度、必ずやらなければならない修正であり、国会が始まる前に与野党で協議して重要なテーマを選ぶ四つの重要広範議案の中の一つでもありました。
通常であれば予算審議が終わったのち、速やかに議論するのですが、与党から具体案が何も出てこなかったんです。そこでお尻をたたいてようやく案が出てきたのが5月末。
しかし中身を見たら、一番大事な基礎年金の底上げの部分が抜けている。形だけ法案を提出して、「やった感」を出そうとしたのでしょう。年金議論から逃げるようでは政権担当能力が疑われますから。そのため私は「これじゃ、あんこの入ってないあんパンじゃないか」と批判しました。
このまま終わらせては意味がないと、我々が修正案という形であんこを詰める役回りを担いました。どなたにとっても老後の年金の問題は重要ですから、修正案を立憲民主党が出し、修正協議をしたというわけです。
選挙後の自公との大連立を
にらんでの動きなのか
池上 与野党はさまざまな法案や政策で対立しますが、年金制度改革について立憲民主党は協議に参加して合意に至った。これは参院選後の政局をにらんで、一緒に協議したように見えるのですが。
野田 それは違いますね。先ほど重要広範議案は四つあると言いましたが、年金のほかにサイバー防衛と教員の働き方と給与を決める給特法についても修正協議をして法案を成立させています。
池上 参院選後、与党が大幅に議席を減らした場合には大連立があるのではともいわれています。
野田 我々は三段跳びで政権取りを目指しています。昨年10月の衆院選で50議席増やしたのが「ホップ」、参院選で改選議席数の与党過半数割れまで持ち込めれば「ステップ」となり、次の「ジャンプ」に大きくつながります。その時に政権を取りにいく。基本的には単独政権を目指しますが、足りない場合にはどこと組むか、臨機応変に考えたいと思っています。
増田 物価高対策の必要性はもちろん、選択的夫婦別姓に関する考え方なども、本来、立憲民主党と国民民主党は考えが近いのではないかと思いますが。
野田 特に選択的夫婦別姓については一緒にやりましょう、うちも賛成しますよとまで言ったのですが、すり合わせがうまくいきませんでしたね。