国民民主党が
一番近い存在
池上 本来はかつての社会党右派と社会党左派のようなものですから、一緒になれば大きな勢力になるのに。
野田 自分は左派ではなくて、ど真ん中だと思っているんですけど、おっしゃったような歴史はあり、社会党右派と社会党左派は基本政策で一定の合意をしていました。
今後何か政局が動くときには、一番近い存在は国民民主党であると私は思っています。比例代表もありますし、お互いに存在感を示したいので、選挙中はなかなかそうはいかないかもしれませんけど、そうは言いながらも今後の政局を考えたときには一番近い存在であるということは意識しながらやっていきたいと思います。
池上 なかなか貴重な発言が出ました。その国民民主党はSNSや動画での発信が支持率増につながっているようですが、立憲民主党は対応が少し遅れているのではないですか。
SNS頼みの支持率増は
逆風に弱い
野田 率直に言って、そうだと思います。
池上 お認めになった。
野田 特に私がそういうものが苦手なので、得意な若手を登用したり専門家の方のご意見を伺ったりしながらSNSでも奮起していきたいですね。
池上 野田さんと言えば、毎朝の駅頭挨拶ですよね。
野田 39年、できるだけ毎朝やり続けてきました。今、通勤時にすれ違うのは私よりも若い世代の人たちばかりです。しかしじかにメッセージを渡し続けることで確実に届いていて、配布ビラの枚数も、毎年増え続けているんです。これは間違いなく効果があります。
増田 でも、地道なものはやっぱり勝つという信念がおありだということですよね。
野田 逆風の時に助けてくれるのは、SNS以上にやはりじかに接している方々です。SNSだけだとうまく流れがつくれたときにはぐんと急上昇するかもしれないけれど、たぶん逆風のときには一気に落ちていく可能性があります。
最近、駅頭に立つ時も、マイクを握って演説するよりはビラを配るんです。その方が、人が寄ってきてくれるんですね。広報よりも広聴だと言っていますが、有権者の方々が日々、何に困っているのか。勇気を出して近寄ってくださって、何を訴えようとしているのか。
そのメッセージを受け取って政治に反映していくことが政治の原点ですから、SNSでの発信にも力を入れつつ、駅頭挨拶は今後も続けていきたいと思っています。
(ジャーナリスト 池上 彰、増田ユリヤ 構成/梶原麻衣子)