傷んだお通しを出して
言い訳を並べる店長
時間は夕刻の6時過ぎ、ご夫婦で来店されており、ご主人が飲み、奥様はドライバーだったのでしょう。店からお宅までは約7キロ程度でした。
お酒を注文、そのお通しが出ました。それを召し上がったご主人は、傷んでいることにすぐに気付き、「何だ、これは!」と大声を上げました。奥様は大声をなだめたようですが、こんな状況では怒鳴っても許されます。
なぜなら、ひどければ命取りになるのが食中毒ですから。対応に出た居酒屋の店長は言いわけをして、その説明がまずかったのでしょう、怒りは膨らみ事務所へ連絡が入りました。運良くか悪くか分かりませんが、私は所用で外出中、対応に出たのは私の部下と総務課長でした。
謝罪中に帰店した私は、タイミング的にすでに出る幕ではなかったため、居酒屋の入り口からのぞき見をしました。
何を話しているか聞こえませんが、2人とも謝罪の姿勢になっていません。総務課長は、業務上の癖か、謝っているのでしょうが頭の下げ方が軽く、話をするときに2人は腰も折らず突っ立っていました。部下は部下で、総務課長がいる手前割っては入りません。この状況では、ここでは収まらないと直感しました。
お客様がお帰りになって、戻った2人と居酒屋の店長から話を聞きました。結論は、お怒りは収まらず、「明日、自宅に説明に来い」でした。ここからは私の役目です。
総務課長は「お客さんも酔っぱらっていたから」とごまかそうとしますが、責任転嫁が得意な男ですから、信用していません。部下はまじめなのですが、状況判断が少し苦手で、ただ頭を下げることに終始するタイプですから、相手の怒りを増すこともあります。
今回のような場合は、もちろん謝罪はしますが、それよりも体の心配に気持ちが傾いている姿を見せねばならない事例です。例えば「急ぎ病院へ行きましょう」と、強く推すことで、「そんな大げさには」という気持ちになり、気分が和らぐのですが、その話術はどちらも持ち合わせていなかったようです。