そもそも日本の少子化はどのような構造で起きているのでしょうか?子ども家庭庁が詳しい分析をしています。それによれば出生率は、以下のように因数分解できます。
『合計特殊出生率=結婚率×夫婦の出生率』
このうち式の右辺の「夫婦の出生率」は実は過去40年間でそれほど下がっていないことが知られています。夫婦の出生率は1982年は2.23でしたが、2021年でも1.90と、減りはしたけれども出生率ほど大きくは下落していません。
実は大きく減ったのは結婚率です。1980年には50歳時点での男性の未婚率は3%未満でしたが、2020年には28%と約4人に1人以上が結婚できない状況が起きています。
この事実から、
「日本人が貧しくなったから結婚率が下がり、結果出生率が減少した」
「子育て夫婦にお金をバラまけば結婚する人が増えるだろう」
という声があがり、こども家庭庁に巨額の予算がつき、子育て支援金が各家庭に支給されているわけです。
でも実際のところ、結婚率はなぜここまで下がってしまったのでしょうか?男性の視点で見ると「もっと稼がないと結婚できない」と感じるのでしょうけれども、女性の視点で見るとどうなのでしょう?
「日本型の結婚という古い因習が嫌だから、パートナーはいるけど結婚はしたくない」
という女性が一定数いるから結婚率が下がってきたとは考えられないでしょうか?
たとえば、もし日本に失われた30年がなかったとしたら、例のバナナグラフでは日本はちょうどシンガポールや、同様に豊かなマカオあたりにプロットされたはずです。でもシンガポールやマカオの位置を確認すると、たとえ経済が成長した別の世界線の日本でも出生率はやはり低いままだと思いませんか?
なぜそうなのか?仮説としてここで注目するのが儒教国の社会風土です。
日本人女性にとっては、結婚はパートナーと夫婦になるメリットだけでなく、儒教の影響下の日本では結婚によって女性が夫の家庭に封建的に組み込まれるというリスクを抱えます。