贈り物は贈った人のセンスが出ます。商人やったらちゃんと考えてから人に贈ること。それでも、僕は直前でも手土産を変えたりすることがあるんです。海外の人が来るパーティで、『和菓子、シャインマスカットは他の人も持っていく品物だ』と思ったら、直前に変えたりします」
品物を贈る場合のポリシーは岡藤が説明した通りだが、ではもらう立場になったら考えておくべきことは何だろうか。社会人になったら、平社員でも取引先から手土産や贈り物をもらう。地位が上へ行けば行くほど品物をもらう機会は増える。しかも高額なそれになる。だが、果たして会社に来た贈り物すべてを自宅に持ち帰って構わないのだろうか。
会社幹部としてもらった手土産は
私物化せずに社内で公平に分配
岡藤は管理職になった時から、もらったものはすべて自分のセクションの人間で分けていた。そして、トップになってからは「秘書だけで分けるのも不公平なので、ある方式を考えついた」。それは次のようなものだ。
「もらったものを秘書室のなかだけで配るのはよくないと思った。1年間、考えた末に、2年目からはもらったものを溜めておいて、年末にくじ引きで当たった人に持って帰ってもらうことにした。ただ、食べ物はその日のうちに秘書室や総務、健康管理室などで分けることにした。
くじ引きもいい加減にやるのではなく、たとえばビールを2ダースとかすべてを、写真に撮って社内ネットで流して、全社員に好きなものを選んでもらう。それから抽選だ。抽選には監査役が立ち会って不正が起こらないようにしている。僕がもらったものだけではなく、幹部役員に来たものも出してもらう。そうすれば数も増える。
手土産、贈り物を考えるのは仕事にも通じる。相手のため、お客さんのために心を込めることですから。商人としてはいちばんのレッスンになるんじゃないかと思います。いつもと同じものを事務的に贈っても相手を喜ばせることはできません。印象に残るものを贈ること。