お返しの手紙でも立派なのを自筆で書いてきてくださる方もおれば、秘書にメール打たせておしまいという人もいる。僕はあまり丁寧でなくてもいいと思ってるから、秘書が書いた手紙に自署してそれを出します。丁寧に自筆で書くと、どうしても時間がかかってしまうでしょう。お礼状はもらったらすぐに出した方がいいんじゃないかな。メールでもいいと思うくらい。そして祝電の場合、お礼状はいりません。祝電に対してメールや手紙を書いて送るのは過剰な対応でしょう。

伊藤忠・岡藤正広会長が実践、“一流のセンス”が伝わる「ちょっとした手土産」の選び方とは『伊藤忠 商人の心得』(野地秩嘉、新潮社)

 こういうビジネスマナーみたいなものは昔は先輩が教えてくれた。だが、今はそういう先輩がいない。プライベートなことを教えようとするとパワハラだと言われかねないし。今は管理職でも手土産には何がいいかなんて考えていない人間が大半ですわ。

 ところがこれがほんとに重要なんだ。海外の人間と仕事する時は日本人相手よりもよほど気を遣う。中国人もアメリカ人も肩書が上に行けば行くほど、贈り物やお礼状には気を遣っている。こちらがちゃんとした応接をして、きちんとしたお礼状を出すと、信頼してくれる。

 手土産、お礼状といったビジネスマナーは商人としての心がけ。手紙ひとつで関係がガラッと変わることもあるから、きちんとやっておくに越したことはない」